玩辱の檻−理名の受難−

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○曽我家の構成(括弧内は年齢)
 曽我賢作( 没 )
 −−長男:曽我賢吉( 没 )−−賢吾(22)と二男〜五男( 21 ・ 20 ・ 19 ・ 17 )
 −−二男:曽我清司( 52 )−−4 人の息子( 21 ・ 20 ・ 19 ・ 17 )
 −−三男:曽我信三( 50 )−−5 人の息子( 21 ・ 20 ・ 18 ・ 17 ・ 16 )
 −−四男:曽我良介( 48 )−−5 人の息子( 21 ・ 20 ・ 19 ・ 18 ・ 17 )
 −−五男:曽我耕作( 47 )−−4 人の息子( 20 ・ 19 ・ 18 ・ 16 )
 −−長女:岡崎真理( 45 )−−理名( 23 )
○理名の従弟たちの年齢分布
  22 歳: 1 名  21 歳: 4 名  20 歳: 5 名  19 歳: 4 名
  18 歳: 3 名  17 歳: 4 名  16 歳: 2 名  (計 23 名)

1 それぞれの夜

「…やっぱり私、行かなくちゃだめかな…」
「気楽な事務職で勤務は暦通りだって言ってたでしょ」
「休日には休日でいろいろあるし…」
「伯父さんの法事なのよ」
「うーん…」
「気が進まないのはわかってるのよ。でも私が出られないからね」
「…それはもちろん、わかるんだけど」
「日帰りでいいから」
「…日帰りなんかで、また何か言われないかな…付き合いが悪いって」
「忙しい中を帰って来たんだって思ってもらえるんじゃない?…それに、日帰りででも出なかったら、余計にまた何か言われるわ」
「…そうね…わかった…行ってくるか」
 伯父の一周忌に家族を代表して出るように、という母からの電話だった。
 家族を代表、といっても父は既に亡くなり、母と私の 2 人しかいない。折しも母が脚を骨折して入院。法事に出られないので、私が出ないわけにはいかなくなった。
 私は−−故郷が嫌いだった。その訳は他人には説明できないのだが−−
 その故郷に、晩秋の土曜、日帰りで帰省することになったわけである。
「…法事だって?…」
 私の背筋に悪戯するように指を這わせながら、倉田さんが尋ねてくる。
「ええ…来週の土曜、日帰りで行ってきます」
 言いながら彼の腕の中にもぐりんだ。
「そうか…なら、今日は来週の分もだな…」
「…いっぱい楽しませて」
「そのつもりだよ」
 私は高校卒業とともに故郷のQ市を出、P市の大学に入学した。英語を 4 年間勉強したあと、同じP市の、ある国立大学歯学部の事務職に就いた。就職は厳しかったが、なんとしてもP市に留まるために必死の就職活動をした結果である。事務職は性に合っていて、好きな英語も生かせるので有り難かった。
 そして−−若い准教授の倉田さんに求愛もされて、私の人生は充実しつつあったのだ。
 若いといっても倉田さんは 33 歳。長身で二枚目なのに、研究に没頭していたせいでずっと彼女ができなかったという。それが本当かどうかは構わない。 彼は 10 歳下の私をとても大切にしてくれるし、週に 1 度はたっぷりと愛してくれる。
 歯科医でもあるだけに、彼は手先がものすごく器用だ。地方出身で奥手だった私は彼と知り合うまでほとんど経験がなかったけれど、彼に初めて抱かれた日から急速に開発されてきている。彼が指や舌を駆使して愛撫してくれるおかげで、私が身体じゅう、それこそ全身が感じることがわかった。たとえば手の指の間に性感帯があるなどとは、彼に責められるまでは考えもしなかった。
 彼もまた、私の示す反応が楽しくてしょうがないらしい。大学での様子からは想像もつかないほど、ベッドでの倉田さんはエッチだ。優しく、時にはしつこく、身体の細部まで調べるように私を責める。私は完全に受け身。されるがままに、彼の仕掛けてくる技に身悶えているのが好きだ。
 今日も、手の先から足の先まで時間をかけて愛されていた。 2 週間分まとめてというつもりなのか、いつにも増して丹念だ。
 いちばん感じるのはもちろん秘部である。全身が感じるとはいえ、秘部を愛されるのが待ち遠しくてならない。だが彼は前戯の段階の最後の最後まで、そこには来ない。
 爪先から太腿へ、彼の指と唇がじわじわと這い上がってきた。左右の内腿にキスを浴びせたあと、彼の頭はようやく私の太腿の間に沈む−−
「…ああっ…」
 そのころには私のそこはもう十分に潤っているのだけれど、彼はやはりすぐに入っては来ない。彼の舌がアヌスから会陰にかけてちろちろとくすぐり、ヴァギナの襞をなぞる。クリトリスの、本体と包皮の境目にも、舌先が入ってくる。彼の指は私の乳首を転がしている。
 気持ちよくて、でも辛くて、私の手はシーツを握りしめる。その手を彼の手が愛撫してくる。
 私の官能はとうに高まっていた。普段なら、彼が入ってくるタイミングだ。
「…ねぇっ…もう入って来て…」
 焦らされているような気がして、私の方から求めた。
「だめだ。もう少し楽しませてあげる」
「…ひっ!…」
 初めての感覚に私は仰け反った。クリトリスに彼の歯が来たのだ。
「…だ、だめっ…そんな…」
「…痛い?…」
「…こわいのっ…痛くはないけど…でもっ…」
「なら大丈夫だ。任せて」
「…あ、ひッ…」
 クリトリスが外気に晒される感覚。
「…な、何をしたの?…」
「クリが大きくなって窮屈そうだったから、皮を剥いてみた」
「…い、いや…恥ずかしいっ…」
「珊瑚色で、ぽっちり可愛くて、綺麗だよ」
 そして彼の頭が再びそこへ沈むと−−クリトリスに当たった彼の歯が少しずつ圧力を加えてくる。
「…あうっ!…いっ!…」
 逃げようとする私の腰を両手でがっしりと捕らえ、彼はさらに続ける。そして−−微妙に圧力を加えた歯がクリトリスの軸方向に運動し始める。
「…ひ…い、いいッ!…」
 やがて下腹に何かがこみ上げてきた。尿意ではない。尿ではないが、何かが溢れそうな予感。初めての感覚。
「…何か…何かくるっ!…漏れちゃう…」
 私がそう訴えるや、責めがヒートアップした。彼はクリトリスを甘噛みしながら、舌先でつついたり、弾いたりもする。ときどきヴァギナ全体をぺろんと舐め上げる。私は彼の両腕に抑え込まれたまま、逃げられないのを承知でもがく。
「…だめっ!…だめっ…出るっ…出ちゃうっ!…ああッ!…」
 びゅうっ!…
 その瞬間、こらえていたものが堰を切ってほとびり出た。同時に昇り詰めた。
「…うっ!…うむっ…」
 がくがくと震える私の全身。
「やった」
「…わ、私…どうなったの…」
「たぶん…潮吹きってやつだね」
 私が放った液体で濡れた顔をぬぐいながら、彼が言う。
「出口は尿道口だったけど、尿じゃない。無臭でサラサラだからね。愛液かな」
「…こんなの、初めて…」
「俺もだよ。理名はすごいね」
「…すごい?…」
「可愛くて、すごく敏感で、おまけに潮吹きだ」
「…いや…」
「恥ずかしがることないんだよ。素敵だ」
 彼の腕が私の肩を抱くと−−ずっ、と彼が入ってきた。
「…ああ…」
 彼がゆっくりと動き始める−−
 私は幸せだった。倉田さんは、パートナーとして得難い人。これ以上の男性はもうきっと現れないだろう。
 あえて不満を言うとすれば、彼が優しすぎることだろうか。性的に開発されればされるほど、彼に身体を気遣われながらのセックスが、私は物足りなくなってきていた。
 快楽は得られるけれど、まだまだ先があるような気がするのだ。
 もっと乱暴に責めてほしい。もう許して、と訴えたくなるほどに−−
 限界まで責められた上での、気を失うほどの快感というものもあるはず。
 それを味わってみたい−−
 そんなことを考えながら、 2 週間分のセックスを終えた。
 願望を倉田さんに訴えることはできなかった。倉田さんが愛しているのは、性に対してウブな私であるような気がする。貪欲になったと思われて遠ざけられるのは怖い。
 しばらくは、ウブな私を演じよう。今のままでも、十分に幸せなのだから−−
 そう自分に言い聞かせながら、横で寝息を立てている倉田さんの胸に、私は顔を埋める。彼は 2 度の射精で満足したようだった。
 私は−−潮を吹いた時の 1 回を入れて 4 度昇り詰めた。
 でも、満足はできていなかったのだ−−

 Q市郊外の田園地帯。晩秋のある金曜の夜。外では小雪がちらついている。
「…うおっ!…」
 ドピュ、ピュ。
 声を殺したオスの呻き。曽我賢吾のペニスを包んだティッシュの中に、欲望がどっぷりと爆ぜた瞬間だった。
 賢吾の前には、岡崎理名の写真が並んでいる。理名が中学生だったころから撮り溜めてきたものだ。その儀式が何度繰り返されたのか数え切れないほど、写真の周囲は傷んでいた。理名の中学時代の制服姿。高校時代の制服姿。顔・上半身・下半身・全身、制服も夏・冬と、それぞれ数枚の写真が並ぶ。
 賢吾は 22 歳。一族の同世代のいとこたちの、男の中では最年長だ。紅一点の理名が 1 歳上の 23 歳である。賢吾は理名とは幼馴染みで、中学・高校でも 1 学年下。成績優秀だった理名と同じ高校には行けなかったが、理名の写真を盗み撮りしによく出かけたものであった。
 賢吾は物心ついたときから理名が好きである。幼年時代のその感情が高じて、思春期からは性欲の対象に変わった。高校を卒業した理名はあっさりと故郷を出てしまったが、正月には帰ってくるし、葬儀や法事があれば戻ってくる。離れていてもなお、というべきか、離れたことによって一層、賢吾の理名への思いは募っている。
 女子大生時代以降の理名の写真は枚数としては多くないが、正月に理名が帰省するたびに、賢吾は理名の写真を撮った。Q市の冬は酷寒にも拘わらず、お洒落な理名はハレの日には必ずスカートを穿く。スカートの裾から露わになる理名の美しい脚。吾郎はその理名の脚が、もしかすると理名本人と同等に好きだった。理名の脚を見ているだけで勃起してくるほどだったのだ。
 脚といえば−−
 賢吾のコレクションの最新の 1 枚は理名の喪服姿だった。昨年の父・賢吉の葬儀の時のものである。黒の上下の洋装、脚は当然黒のストッキングに包み、黒のスカート・黒のパンプスと美しい調和を見せていた。喪服のスカートは丈が長く、理名には今ひとつ似合っていないようにも思えたが、スカートの裾から脹ら脛だけが露わになっている構図がひどくエロチックであった。おかげで、父の葬儀だというのに斎場のトイレで自慰をしなくては持たないほどだったのだ。
 理名の喪服姿はデジカメに収め、今は PC の画面に映し出されている。画面の半分は理名の顔から胸へかけてのアップ、残り半分は脚のアップだ。
 明くる土曜は父の一周忌だ。親戚一同が集まるその機会を賢吾は 1 年前、父の葬儀のその日から待ち焦がれていた。理名が当然、喪服か黒のスーツで現れるはずだからである。
「理名ちゃん…理名っ…俺をさんざん、挑発しやがって…」
 理名の写真を前に自慰を始めると、 1 度の射精では到底済まない。 PC の画面に顔を近づけ、理名の脚の画像を舐め上げながら、賢吾は再びペニスをしごき始める−−

2 斎場の華

 よく晴れて寒い日だった。Q市にはもう薄く雪が積もっているだろう。どんな服装で出かけようかと迷ったが、黒のスーツの上にコートを着て行くことにした。法事といってもまだ一周忌だから、葬儀に近いフォーマルな装いでなくてはならない。でも、葬儀ほど固くなくてもいいらしい。日帰りとはいえ小旅行なので、喪服を来ていくのもどうかと思ったこともある。それで、お気に入りなのに普段は着る機会のない、黒のスーツにしたのだった。
 Q駅に降り立つと、冷気が脚を刺す。すうすうと頼りないのが、私にはかえって小気味良い。日頃からスカートが好きなのは脚を見せることができるからだし、今日は好きな黒で統一できるのが嬉しい。気の進まない帰省だけれど、この点だけは法事をありがたいと思った。
 友達からも、倉田さんからも、綺麗だと言われる私の脚。
 そして−−従弟の曽我賢吾からも、たぶんそう思われているはずだった。
 雪で足下が悪く、パンプスで斎場まで歩くのは大変だと思われたので、タクシーに乗った。道中、そのつもりはないのに、賢吾のことをつい思い出す。
 賢吾が私のことを好きらしいと気づいてから、もう何年になるだろう。
 中学のころ、伯父さんに買ってもらったカメラで私を撮りたがった。幼馴染みでもあるし、男の子の性について何も知らなかった私は気安く応じていたが、賢吾の目的がだんだんわかってきた。
 おそらく、私の写真を使って自慰をしていたのだろう−−
 賢吾が中2、私が中3のころ、賢吾の私を見る目つきが変わってきた。好きな女の子を見る、というのとは違う、何か獲物を狙うような目をすることが多くなった。ふと気づくと賢吾がそんな目で私の身体を凝視していて、ぞっとすることがたびたびあったのだ。とりわけ、賢吾の視線は私の脚に向けられていることが多かったような気がする。
 別々の高校に通うようになっても、私の家の近くまでこっそり写真を撮りに来ていた。セーラーの制服姿を収めるためだったろう。それを私は気づいていたが、努めて構わないようにした。盗み撮りなんてしないでよ、とたしなめることもできなかった。私の写真で賢吾が性欲を処理している−−それを私が感づいていると賢吾に悟られれば、賢吾の感情がエスカレートしそうだった。それが怖かったのだ。
 曽我家の男性は、祖父の賢作の代からみな体格がいい。賢吾も小学生のうちは私に追いつかなかったが、中2のころからぐんぐん大きくなった。私の身長が中1で158 cm で伸び止まったのに対し、賢吾は中学を出るころには 180 cm を越えていた。バスケットで鍛えた身体はたくましく、若いオスの匂いがした。 20 歳を過ぎてからは落ち着いてきたようだけれど−−
 賢吾の気持ちを嬉しいと思うことも全くないではない。でも、とうてい応えられなかった。従弟で、幼馴染み。それ以上ではない。いとこ同士で恋愛も結婚もできるのは無論知っているけれど、賢吾を相手に選ぶつもりは毛頭ない。純粋にひとりの男性として見ても、年下なのは構わないが、体格が良過ぎて無粋なのは私のタイプではないのである。
 だから、早く彼女をつくりなさい。私を恋愛の対象として見ないで−−
 どこかでそう告げる必要があったのかも知れない。だがその機会を逸したまま私は故郷を離れ、正月などに賢吾と顔を合わせては、以前のように写真を撮られたりもしている。それでは、いけないのだ。きっと−−
 親類たちも賢吾の気持ちを感づいているようだ。理名とは幼馴染みなのだし、 1 つ上の姉さん女房もいいじゃないかと、私のいないところで賢吾と話している伯父・伯母もいる。放っておいてほしいのだけれど。
 大勢いる従弟たちも、賢吾に加勢する気配だ。いとこの中で唯一女である私は皆に慕われ、彼らからもまた、賢吾が私を見るような意味ありげな視線を送られることが増えてきた。それでも、ヨメにとる権利があるのはリーダー格の賢吾だ、とでも考えるのだろうか。歳の近い従弟たちは「理名ちゃんはいつ帰ってくるんだ」と、伯父・伯母たちと同じことをしきりに訊いてくる。
 私は、帰ってくるつもりはないのよ−−
 母は私が故郷を出ることに賛成だった。伯父・伯母らとは一線を画し、大勢いる従弟たちの誰かと結びつけようとは微塵も思っていない。理名は勉強に適性があるのだし、曽我一族の会社に勤めなくとも就職はあるに違いない。だから都会でひととおりの教育を受けなさい−−と強く勧めたのだった。

 そんなことに思いを巡らせるうち、斎場に着いた。コートを脱いで、伯母たちのところへ出向く。ホールに行けば伯父たちも、従弟たちもいる。彼らと顔を合わせる前に、まずは女どうしで話してリラックスしたかった。
「ご無沙汰しています…」
 昨年は正月には帰らなかったから、顔を合わせるのはほぼ 1 年ぶりだ。
「あらー、理名ちゃん!」
「またすっかり綺麗になっちゃって…」
「スーツも似合い過ぎ!…掃きだめにツルってやつよね」
「男ばっかり多い親類で、年頃の娘といえば理名ちゃんしかいないもんねぇ」
「若いころの真理さんもこれほどではなかったよ」
 大柄で容姿は並か並以下の伯父たちとは対照的に、母の真理は小柄で美しかった。そして、亡くなった父がまた美形だった。それで私もそこそこの美貌を与えられているのだろう。その点でも、私は親類の中では異色だった。
 母の代にも、私の代にも、田舎を出て大学に進んだ者はいない。まして都会で働いている者もいなかった。結婚する相手は近郷近在で見つけるのが普通だったし、彼女のいる従弟たちも相手はたいてい同じ高校の出身者だ。
 思えば私は中学・高校とよくもてた。交際の申し込みは日常茶飯事だったし、お断りした後つきまとわれて面倒なことになった経験もある。いい人がいれば付き合っていたかも知れないし、彼氏が欲しいと思わないではなかったけれど、これは、という男性はいなかった。おかげで、理名は頭もいいが男の条件もきつい、つまりお高く止まっているという評判になり、それで同性からも疎んじられたりして、さんざんだっだ。もてるのも良し悪しだと、つくづく思ったものだ。
 コートを控え室に置き、ハンドバッグだけ持ってホールに入る。すると−−
「理名ちゃん」
 不意に背後から呼ばれて、私はびくりと固まった。
「そんなに驚くことないだろ」
 耳に慣れたその声は、賢吾だった。
「…ああ、ケンちゃん…お久しぶり。元気だった?…」
「ケンちゃんはやめてくれよな」
 ぶっきらぼうに言うと、賢吾は従弟たちの輪に入っていく。
「おい、理名ちゃんが着いたぞ」
 なになに、という声を上げて、従弟たちが私の方へ近づいてくる。それを見て私は身を強ばわらせた−−
 若い男ばかり 23 人。半数以上は働いていて、黒の上下を着込んでいる。最年少はたしか高校1年で、高校生の 9 名はやはり黒の学ランと、黒づくめの集団だ。しかも、みな私よりはるか上に頭がある。賢吾が 185 cm でいちばん大きいようだが、そのくらいのはざらにいる。賢吾ほか 5 名がバスケ、他の者もサッカーや格闘技などの経験者か現役。体育会系が多いのだ。
 曽我一族は建設業をメインにスーパー・ホテル・遊戯場などの経営を手広く行っている。ホテルはいわゆるラブホテルである。それぞれの取締役は母の兄たちで、従弟たちもたいていグループのどこかに勤めている。
 私は大卒だというので、卒業当時、総勢 5 名の伯父たちのよろず秘書役になってくれとずいぶん誘われたのだが、母を通じて丁重にお断りしたのだった。そう言えばこの件でも、理名はP市の大学を出た才媛だから曽我の会社など相手にしていない−−などと影で言われたものだった。
 断った理由のひとつは、 5 人の社長の秘書役などという仕事に実体があるとは思えなかったこと。伯父たちの誘い文句としては、理名は綺麗にして俺たちのお供をしてくれていればいいとか、何もしなくて構わないとか、とうてい真面目に仕事をさせてくれる気配はなかった。
 私は、私の代で最初に生まれた子だったうえに紅一点だったので、幼いころから伯父たちにとても可愛がられた。それが−−女として成長を遂げ高校生・大学生になると、色気の入った目で見られ始めた。その伯父たちの秘書役というのが生理的に堪えられそうになかった、というのが最大の理由。
 間に入ってくれた母にはひどく嫌な思いをさせたが、母は気丈に乗り切ってくれた。その時、母から言われたことには−−
『理名もうすうす感づいているだろうけれど、曽我の男たちは理名に対してなんだか妙な可愛がり方をする。ひどいことを言うけど、理名がいるというだけで曽我の男たちはおかしくなるみたいだね。だから田舎に帰ってきちゃいけない』
 すんなり納得が行ったものだった。
 その従弟たち−−私がいるとおかしくなるという集団の一部に取り囲まれた。
 10 代の子らはまだ顔にいくぶん幼さが残り、怖いという感じはしない。だが、賢吾をはじめ、働き始めて数年という年長の従弟たちに混ざると、なんだかその“舎弟分”という風情。その集団には凄みがあった。女ひとりを取り囲めば、いとこ同士だと知らない人が見たら何事かと思うだろう。
 誰も彼もみな似たような顔つきなので、名前やその父親が咄嗟に思い浮かばない子も多い。まして年齢が近かったりすると区別がつかない。年に 1 度も会わなければ、顔はどんどんわからなくなっていく。ただでさえ数が多すぎるのだ。そんなのが 23 人も集まれば不気味でさえあるのだった。
 昨年の葬儀の時も彼らは同じ服装だったはずだが、これほど接近する場面はなかった。こんな空気に包まれるのは初めてだ。自分の従弟たちだというのに、親しさや身近さは感じられない。心のどこかで私は−−怯えている−−
 そこへ−−
「おお、理名じゃないか。大勢のオスに囲まれちゃって」
 際どいことを言いながら近づいてくるのは耕作伯父。伯父たちの中ではいちばん若く、従弟たちには人気がある。それはQ市の歓楽街へ従弟たちを連れて行ったりしているからだという。噂では、彼らを連れて風俗店にも行くと−−
 噂の真偽はともかく、遊び人風のこの伯父が私は嫌いだった。
「これだけの人数に愛されてたら、女冥利に尽きるだろ」
 若い男の集団に、その元締めのような存在が登場して、意味ありげな言葉を並べる。ひどく卑猥な雰囲気が私を包んだ。
「…よしてくださいっ…」
 つい、耕作伯父をきっと睨んだ。
「冗談に決まってるだろう。都会暮らしが長くて、冗談が通じなくなったのか」
「そんな…」
 私が異色であることへの批判がまた始まった。私はいたたまれなくなる。
「綺麗になったよなぁ。去年葬式で見て思ったんだよ。彼氏はいるんだよな?」
 耕作伯父は私をいじめに来たのだろうか。
 賢吾の前でその質問はないじゃない−−
 初めはそう思ったのだが、少しの沈黙のあと、
「いますよ…」
 正直に答えた。こんな場面を利用するのも気がひけたけれど、彼氏がいることを賢吾に伝えるにはちょうどいいと思ったのだ。それに−−
 彼氏がいないと言っても、黙っていても、また何か言われるに決まっている。
「そうだろうなぁ…これだけのべっぴんだ。男に不自由しないよなぁ」
「…伯父さんっ…」
「あ、いや、周りが放っとかないよな…くくく」
 私が耕作伯父を忌み嫌うのは、この「くくく…」という笑い声のせいでもある。なんだか追い詰められるような気持ちになるのだ。
「どんな人なんだ」
 倉田さんとのことを耕作伯父に話したくはなかったし、従弟たちに聞かれるのもいやだった。それで、今度は黙っていたのだが−−
 気のせいか、従弟たちの雰囲気がおかしくなっていた。
 大人どうしなら、彼氏がいると言えば身体の関係もあるというのが暗黙の了解。だがそれは、 10 代の者も含め、従弟たちにとっても同様のようだった。
 つまり−−
 理名は故郷を捨てて都会で男を探し、セックスを楽しんでいる−−
 賢吾の気持ちを知りながら、相手にする気は毛頭ない−−
 うすうす想像がついていたそのことが今はっきりした、という気配があった。
 従弟たちの私への視線が、冷たいものになっている。悪意がこもっていると言っても良さそうだった。私の顔へ向けられていた視線は、うなじから肩、胸、そして腰から脚と、品定めでもするかのように上下に動き始めた。
 この身体をどこかの男に抱かせているのか−−と言いたげだった。
 何をじろじろ見ているの、とも言えず、私の身体はますます強ばる。
「教えてくれてもいいだろう」
「…こんな席で話すことじゃ…」
「どうせわかることだ」
 そう。倉田さんからは、いずれプロポーズされるはずだった。だから耕作伯父の言う通りだったのだが、
「言わないのなら、P市まで愛の巣を見に行くぞ」
 そんなことを言われて、かっとなった。以前からの嫌悪も加勢して、
「…いい加減にしてっ!…」
 つい、大きな声を出した。それでホールにいた親類一同の注目を集めてしまった。
 いけない。何を取り乱してるの−−
「もうやめましょ」
 意外にも、その場を取り繕ってくれたのは賢吾だった。
「ああ、理名よ。冗談だから気にしないでくれよな」
 と、耕作伯父は片手をひらひらさせながら離れていく。その一言一句に神経を逆撫でされ、悔しくて、許せなくて、涙が滲んできた。
「…ちょっと用があるので、失礼するね…」
 その場にいたたまれなくなり、私も従弟たちの前から足早に立ち去った。背後から凝視されているのを感じながら−−

3 急転

 沈んだ気分のまま、法事は終わった。食欲が湧かず、仕出しの弁当には箸が進まなかった。振る舞われたビールや日本酒にも軽く口をつけただけだった。
 ともあれ、務めは果たした。あとは帰るだけ。明日はゆっくりくつろごう−−
 タクシーを呼ぼうと屋外へ出たところで、またしても賢吾に会った。
「理名ちゃん、駅まで送るよ」
 先の気まずい出来事を思って、私は素直になれずにいる。
「…構わないで…タクシーを呼ぶから…」
「さっきのことなら気にしないでよ。叔父さんもひどいよな」
 その件については賢吾は私の味方のようだった。それで、賢吾の好意を無碍に断るのもどうかと思った。
「…お言葉に、甘えようかな…」
「良かった」
 今日初めて見る賢吾の笑顔に、私も少し気が楽になる。賢吾に促されるまま、駐車場へ向かった。斎場の玄関に従弟たちが集まってこちらを見ている。
 助手席は賢吾との距離が近すぎるので気が進まない。それで後部座席に乗ろうとすると、何やら段ボール箱やバッグの類で埋まっている。
「あ、後ろは荷物で一杯だから。助手席に乗ってよ」
 仕事の道具だろうか、法事の関係だろうか。それにしても不自然な詰め込みようだったが、助手席はいやだとも言えず、賢吾の言葉に従った。
 脚を閉じ、コートの裾をきっちり合わせる。車が発進する。
 従弟たちがこちらに向かって手を振っていた。それで、私も軽く手を振ってみた。私が反応を返したのを見て、従弟たちはなぜだか露骨ににやついている。
 私が賢吾の車でどこかに出かけるとでも思っているのだろうか。
 彼氏がいるにもかかわらず、こっそり、とか−−
 そういう誤解をされたくはないんだけど−−
 そんなことを私が気にするうち、車は国道へ出た。
「何時の列車?」
「…決めてないの。いちばん早い特急に乗るつもり…」
「そうか」
 なぜか賢吾がうんうんと頷く。意味ありげだった。
 何だろう?−−
「理名ちゃん、忙しいんだろ」
「ええ…まあね。ケンちゃん…賢吾さんも、お仕事大変でしょ」
「まあね…弟や従弟たちも、それぞれ忙しそうだよ」
「みんな大きくなったわよね…囲まれると怖いくらいだった」
「ふふふ…みんな理名ちゃんに会いたがってたんだ」
 そのときの緊張を少し思い出した。
「さっきも名残惜しそうだったじゃないか」
 賢吾も気がついていたんだ−−
「ところで理名ちゃん、明日も忙しいの?」
 田舎道で、他に車はいない。
「…明日も仕事かい」
「…いえ…仕事はお休みだけど…どうして?…」
「彼氏と出かける?」
 先のやりとりを蒸し返すように、賢吾がそんなことを言う。
「いいえ…彼と予定はないわ」
「そうか…それじゃさ、もしかして今日中に帰らなくても…いい?」
 話がおかしな方向に行こうとしている。
「…どういうこと?…」
「どう、って…その…今日はどこかに泊まってもいいんじゃないか」
「…どうしてそんなこと言うの?…」
「…えーと…いや、せっかく帰って来たんだから…」
 賢吾は私をどこかへ連れ込もうとしている。それが車に乗せた目的?−−
 そんな気配を濃厚に感じて、
「…母が入院中で留守だから家には帰らないし、他所に泊まる用意もして来てないわ。特急で 2 時間で帰れるんだから、今日帰ろうと思うの」
 強めに言った。きっぱりと断れば無理なことは言わないだろう。
 黙り込む賢吾。気まずい。やはり、賢吾の車になど乗るべきではなかった。
「…理名ちゃん、あのさ」
 信号待ちで、賢吾が私の方を向いてようやく言う。
「…なに?…」
「実は、頼みがあるんだ」
 来た−−
 何を言い出すのか見当がついたように思い、私はうつむく。
「…やらせてくれないか…」
 やっぱり−−
「…何言ってるの」
「…俺は…」
「無理よ…私たちはだめ」
「…そうかな…」
「私、恋人がいるのよ。聞いてたでしょ」
「…うん…それは…」
「私が年上だからって、甘えないで」
 信号が青に変わったが、発進する気配がない。
「…信号、変わったわ…」
 賢吾の方を向かずに言う。
「私…ここで降りて、あとは歩く」
 ドアを開けようとした、その手首を掴まれた。たくましい手に握りつぶされそうだった。
「やめてよっ…」
 修羅場になってしまった。早く、賢吾から離れなくては−−
「頼むよ。好きなんだ、理名ちゃんが」
 頼まれても困る。賢吾に抱かれることを想像したことがないではないが、こうして頼まれると嫌悪感が起こるものだ。
「ごめん…私、応えてあげられない」
「 1 回だけでいいんだ」
「馬鹿っ」
 思わず叫んだ。もちろん、そんなことで賢吾がひるむとは思わなかったが。
「…そうか…頼んでも無駄か…」
「手を放して…」
「じゃあ」
 一瞬、最悪の事態を予感した。
「実力行使といくか」
 不意にみぞおちを突かれた。最悪の事態だった−−

 理名を拉致した賢吾の車が停車したのは、曽我一族が経営するラブホテルの地下駐車場。
 そこで賢吾を出迎えたのは曽我耕作だった。理名の最年少の伯父である。
「うまくやったようだな」
「緊張しましたよ…でも、叔父さんの“言葉責め”がそうとう効いてたみたいだ」
「作戦勝ちだな…ここへ連れ込んじまえば、もうこっちのもんだ。安心しろ」
 地下駐車場から直接入れる「スィートルーム」。耕作がそこの鍵を開けると、理名を抱き上げた賢吾それに続く。
「ひゃあ…凄いや。どこが“スィート”なんですか」
「ふふふ…土建屋をやってて良かったよ」
 各種 SM プレイのできる広間なのである。石の壁の内装に、縦横に組まれた角材。壁にはロープその他の小道具を置いた棚。プレイに必要なものが一通り揃っている。
 そのホテルに SM のできる部屋が欲しいという要望が以前からあった。実は理名の伯父たち−−清司・信三・良介・耕作にはかねてよりその趣味があり、自分たち専用のプレイルームを求めていたところであった。そこで曽我一族の経営する工務店が設計・施工を担当して、ホテルの地下室を改造した。当然のように、 4 兄弟それぞれの求める設備がひととおり揃っている。
「まさか理名をここへ連れ込めるとは思わなかったがな…くくく」
 コートとジャケットを脱がされて、ベッドに運ばれる理名。その顔から脚まで、耕作は至近距離で凝視する。舌なめずりしながら−−
「伯父さんも理名ちゃんを狙ってたんですか」
「血のつながった姪だからな。俺もずいぶん苦しんだよ…でも、もう苦しむのはやめだ。こんなに美味そうに成長しやがって」
 耕作が、昏い眠りを続ける理名のスカートを脱がせる。
「おっ…パンストじゃない。ガーター式だ」
「へぇ、初めて見ましたよ。パンティも黒だし…なんか俺、鼻血出そう」
「色気づきやがって…こいつ、けっこう好き者かも知れないぞ」
「よりによってこんなときに、俺たちを余計に刺激しちゃって」
「下着が黒なのは透けないようにってことだろうが、ストッキングはスーツに合わせて高級なやつをフンパツしたんだろう…でも、まずいよなぁ。こいつ」
「なんか、誘われてるみたいすね…ひひひ」
 2 人に衣服を剥かれているとも知らず、理名は眠り続ける。
「セッティングは手伝ってやるから、最初はお前ひとりで好きなようにしろや」
「すいません。ごっつぁんです」
「お前がやってる間に機材をセットするからな…おい、そこに載せるぞ」
 プレイ用の開脚台である。
「縛るぞ」
「オーケー」
 理名の両腕を頭上で組み合わせて縛る。両脚を台に合わせて載せ、足首をベルトで固定する。これで身動きはできない。
「いちおう聞いておくが…どんな感じで犯る?」
「そうすねぇ」
 顔を醜く歪ませながら、賢吾は思案する。理名の髪を撫でながら−−
「いきなり突っ込んだりするなよ。痛がるだろうし、つまらん」
「ええ、承知です…とりあえず、上から下までベロベロベロベロしたいかな」
「それがいい」
「そうして 2 、 3 回イカせてやります。イカせたら大人しくなるでしょ」
「そう簡単にいくかな…抵抗されるぞ。イキそうになっても堪えるだろう」
「イクまで責めてやりますよ」
「まあ、頑張ってみるか。縛られてるぶん、理名の方が圧倒的に不利なんだからな…くくく」
 耕作は何やら錠剤を取り出し、
「ちょいと細工を…」
 理名の口に押し込んだ。続けてペットボトルの水を口に含むと、理名の唇を奪い、口移しで水を送る。
 反射的に、理名はそれをコクッ…と飲み下した−−
「何ですか」
「バイアグラだよ」
「…勃たない男が飲むやつ?」
「女が飲むと、クリがびんびんに充血して治まらなくなるんだ」
「へぇ、そいつはいいや。これで俺は完全に有利ですね…ひひひ」
「クスリが効いてくるまで、ゆっくり責めるんだぞ」
「そのつもりです」
「途中で合流させてくれ。『応援』も呼んである」
 忌まわしい錠剤を飲み込まされたのをきっかけに、理名が覚醒する。
「…う…」
 理名に気づかれぬように、耕作は別室に移動する。そこからはスィートルームの模様が完全にモニターでき、録画・録音も自由自在なのだ。

4 スィートルーム

 私はどうしたんだろう−−
 法事が終わって−−賢吾の車に乗って−−
 セックスを迫られた−−
 そこまで記憶を辿ったところで、私は目覚めた。
「気がついたか?」
 聞き覚えのある声。賢吾?−−
 いけない−−
「そろそろ始めようか…」
 私の頬からうなじに両手を這わせてくる。
「…うっ…」
 その感触の不快さに、私ははっきりと意識を取り戻した。
「…っ!…いやっ!…」
 見慣れない、物々しい内装の部屋だった。そして、私は−−
 縛られていた。
 スーツの上下を脱がされて、恥ずかしい姿勢で。
 その姿が、天井に備え付けられた鏡に映っている。
「…何するのっ!…」
「さあ、何をされるのかな…わかってるんじゃないのか」
 もちろんわかっている。だが−−
「…いやっ…私はいやよ、こんな…」
「彼氏とやってるから、慣れてるんだろ…俺にも教えてくれよ」
「…ふざけないでっ…ほどいて…」
 計画的。賢吾ははじめから私を犯すつもりだったのだ。
 卑怯にも、身動きできないように、私を縛って−−
 部屋を見渡すと、天井には鏡のほか滑車、壁には何本ものロープや、鞭。
 SM −−その専用室。
 そういう世界があるのは、知ってはいた。興味がなかったわけでもない。
 だが、現実に経験することになろうとは思いも寄らなかった。
 賢吾にそんな趣味があったなんて−−
「俺はさ…理名ちゃんをずっと好きだったんだよ…知ってただろ」
「…だからって…こんなの、卑怯よっ…」
「俺がどれだけ好きなのかわかってもらうには、このほうが手っ取り早いのさ」
 ジャケットとスカートは脱がされ、両腕は頭上で組み合わせて縛られている。台に載せられ、両足首はベルトで固定されている。
 賢吾が拘束を解く気にならない限り、身動きはできない。されるがままの姿勢だ。
 黒のブラウスと、やはり黒のガーター式ストッキング。鏡に映る私の姿はエロティックだ。若い男の性欲を煽り立てるには十分なはず。
 賢吾は上半身裸。腕にも胸にも、筋肉が隆々と誇示されている。準備運動のつもりか、聞こえよがしに指や首をごきごきと鳴らす。
 だめだわ−−
 本当に犯す気だ。せめて、乱暴にされるのは避けなくては−−
「…ね、ケンちゃん…賢吾さんっ…やっぱりだめよ。ほどいてっ、お願い…」
「懐柔しようったって駄目だよ」
「…ほどいてくれたら、黙っててあげるから…ねえっ…」
「何を姉さんぶってんだ。状況を考えてみろよ」
 私の髪をいじっていた賢吾が立ち上がり、私の両脚の先に陣取った。
「楽しませてやるから、さ…」
 にやりと笑う。私を愛そうというのではない。辱めようという露骨な企みをたたえた、歪んだ笑み。それを見て鳥肌が立った。
 は、始まる−−
 賢吾が台の横のハンドルを回すと、
「…あっ!…」
 ぎりぎりぎり…
 私の脚を載せた部分が、おもむろに角度を広げはじめた。太腿をぴっちりと閉じていられたのが、機械じかけで強制的に開かされていく。
「…いっ…いやっ…」
 両脚の角度は確実に増していき−− 90 度ほどにまで開脚させられた。
「…きれいだ…」
 賢吾の両手が右の下肢を這い始めた。黒いストッキングに包んだ脚。足首は固定されている。
「…う…」
 顔を二の腕に押しつけて声をこらえた。賢吾の指のタッチは思いがけず繊細で、性感を巧みに刺激してくる。賢吾の指は膝を撫で、ふくらはぎを揉む。ベルトに固定されて動けない足首を、さらにがっしりと鷲づかみにする。
 唇が来た。両手で下肢を捧げ持つように押さえ、そこにむしゃぶりつく賢吾。
「…っ!…」
 辛い感覚に、声が出そうになる。足首から膝まで、賢吾の唇が、舌が、歯が往復する。さわさわと指を這わせたかと思うと、唾液でべっとりと濡れた唇を押しつけ、舌を使ってくる。私のそこは次第に賢吾の唾液にまみれていく。
「…こんな風にできるのを、ずっと想像してたよ…」
 賢吾の両手と顔が太腿に来た。内腿の柔らかい部分に唇を押し当ててくる。 10 本の指が蟹の足のように蠢き、太腿の内側も外側も、ぐるりと這い回る。
 膝に歯が来る−−
「…あ、ぐっ!…ゆるしてッ!…」
 もう声をこらえることはできなかった。呼吸が苦しい。
「理名ちゃん…脚がこんなに敏感だったんだな…その弱い部分をずいぶん見せつけて、挑発してくれたよな」
 パンプスを脱がされる。くるぶしから足の甲、足の裏と、指が這い、唇が這った。足首がベルトで固定されているうえ、賢吾の両手に捕らえられて、足は動かせない。
「…いやああっ!…」
 殊に、その状態で足指を責められるのはこたえた。 1 本ずつ口に含み、舌をからませてくるのだ。あまりのくすぐったさ、切なさに私が泣いても、それは賢吾の悪意をむしろ奮い立たせてしまう。
 責めは左脚に移り、同じことを繰り返された−−
 その後しばらく、賢吾は私の脚をずっと責め続けた。右脚なら右脚を、足指を丹念にしゃぶり、ふくらはぎを味わい、膝に歯を立て、太腿を貪る。右脚の次は左脚だ。そしてまた右脚。それがもう何度も繰り返されていた。
 そんなにも私の脚に執着があったのか−−と、いまさらのように思い知る。
 だから、私を陵辱しようというとき、賢吾が最初に責めてくるのは脚なのだ。
 濡れてしまっている−−
 ヴァギナがしっとりと潤っている自覚があった。まだパンティは脱がされていない。だが、濡れているのを感づかれるのは時間の問題だ。
 いけない−−
 気がつくと、賢吾の顔が私の顔の正面にあった。
「…む…」
 拒む間もなく、唇を奪われた。舌を吸い上げられ、歯茎を舌で愛撫される。
 組み合わされて縛られている腕。ブラウスをまくられると、右の二の腕に舌が来た。
「…あっ、ううっ!…」
 くすぐったさに身をよじる。次いで、賢吾の指が腋の下に来た。
「…くぅッ!…うっ!…」
「くすぐったいか」
 ぺろぺろとそこを舐めながら、私を追い詰めていく賢吾。
 次は乳房だった。まず、ブラウスと下着の上から左右を一度に揉まれた。
「ふふ…理名ちゃん、胸はあんまりないよな。中学の頃から変わってないだろ」
 激しく揉みしだきながら、からかってくる。
「…でも、貧乳のほうが感度がいいって聞くぜ」
 そう言って、左右の乳首のあたりを指でなぞる。
 びりっ…と電流が走るような感覚。
「…あ、あっ!…」
「もう固くなってるんじゃないのか」
 賢吾が器用にブラウスの前のボタンを外していく。次いで、
「動くなよ」
 そう言うと、ハサミでキャミソールを切り裂き始めた。
「…ひい、い…」
 時々冷たい刃が肌に触れる。肌を切られているような錯覚が起きて、身体が強ばる。私の上半身に残っているのはブラジャーだけとなる。
 そして、ブラの紐にもハサミが入り−−
 はらり、とブラが落ちて、乳房が露わになった。
「…ああ、いやぁ…」
「いやじゃないだろ…ここも責めて欲しいんだろ」
 いきなり、むしゃぶりつかれた。
「…うううーッ…」
 私は不自由な身体を仰け反らせる。それを押さえつけながら、賢吾は両手で乳房を揉み、左右交互に吸ってくる。舌が乳首を転がす。歯を立ててくる。
「…も…もう、いやっ!…やめて…」
「ここでやめられたら困るんじゃないのか」
 ジョキリ。
 パンティにハサミが入った。ガーターベルトの間から、するすると抜き取られる。
「…い…やぁっ!…」
「へへへ…理名ちゃん…もうすっかり濡れてるじゃないかよ」
 返す言葉がなく、私は腕の中に顔を埋める。
「では、いよいよ…いただくとするかな」
 ぎくりとして顔を上げると、私の秘部の正面に賢吾の顔があった。
 くっ、クンニ?−−
 賢吾に犯されるとしたら荒々しいレイプになるだろう、という漠然とした予想は、ここまでの長い前戯で見事にくつがえされていた。脚をこってりと責められるところまでは合点がいったものの、全身にここまで丁寧な愛撫を加えられるとは思わなかった。
 そして、いまや賢吾はクンニリングスを始めようとしている。
 それはやはり、前戯の仕上げというわけなのだろうか。
 一刻も早く挿入したいというわけではなさそうだ。どちらかといえば、私が泣いて悶える反応を楽しんでいるような−−
 もしかして−−私を、いかせるつもり?−−
「…だめっ、やめて…それだけは、しないでっ…」
「何をされるのかわかるんだな?…ほんとは期待してるんだろ…へへへ」
 かぶりを振る私。賢吾の顔が沈んで−−
「…ああ、あっ!…」
 激しい感覚に、私は全身をバウンドさせた−−

 もうどれほどの時間が経ったのだろう。 20 分とも、 30 分とも感じられる−−
「…い、いやっ…お願い…もう、許してぇっ…」
 賢吾の大きな頭が私の太腿の間に沈んでいる。アヌスから会陰、ヴァギナ、クリトリスと、唾液にぬめる舌と唇が執拗にねぶり、這い回っている。
 ぺちゃっ…ぺちゃっ…
 賢吾の舌づかいの音が、私の官能は追い立てられていく。
 ずずっ…ずずずっ…
「うまいぜ」
 私のそこから滲み出す愛液。それを賢吾は飽きもせず、舌先で舐め取っては嚥下している。
 高まっていく感覚に屈しまいと、私の身体と心はずっと必死の抵抗を続けていた。全身は汗でびっしょり濡れている。
 幸いにして、というべきか、残念ながらというべきか、賢吾のクンニリングスは拙く、それだけで私を絶頂へ導くには今ひとつだった。性感が高まりかけても、責めが単調なせいでいつしか波が引いてしまう。だからこそ堪えることができているのだが、絶頂へ導かれないまま秘部をねぶられ続けるのも、またひどく消耗する。
 そして−−私の身体には異変が起きていた。
 クリトリスがいつになく充血しているのだ。
 固く勃起して、じんじんと痛いほど−−こんな感覚は初めてだった。
 それは、賢吾が根気よくクンニを続けているせいではなさそうだ。それでも、そのクリトリスを賢吾の舌が転がしてくるたびに、激しい感覚が来る。
 だが、やはり絶頂に至るほどではない。賢吾の舌づかいが物足りないのだ。
 ただし−−
 クリトリスをもっと強く刺激されたとしら、そのときが抵抗の限界だろう−−その予感はあった。たとえば賢吾がそこを甘噛みでもしてきたら、達してしまうに違いない。それぐらい、ぎりぎりで危うい状態。だから−−
 賢吾の責めに屈しまいと堪えてきた私だが、根負けしそうになっていた。
 こんな生殺しのようなクンニをされて、絶頂に至らないまま我慢させられるのは、もうたくさん。
 技巧を凝らした責めが望むべくもないのなら、せめて、もっと乱暴に責めてほしい。そして、一気にいかされたい。
 しかし−−
 そんなことを考えているうちに、賢吾のほうが諦めてしまった−−
「…ふう…理名ちゃん、イカないのか?…」
 根負けしたのを認めるように賢吾が言う。執拗な前戯が小休止に入ってほっとしたのと、同時に落胆したのとで、私はぐったりと顔を背けた。
「クンニをされるの、初めてなのか?」
 かぶりを振る。もしも初めてなら、簡単にいかされそうなものだ。
「…じゃあ、クンニでイッたことがないとか?」
 そんなはずないじゃない−−
「…あるわ…」
 それどころではない。倉田さんにクンニをされれば、そのたびに昇り詰める。先日は潮を吹いたりもしているのだ。
「そうか…なら、俺も理名ちゃんをイカせてやりたいんだがなぁ」
 沸き立った淫欲をなんとかしてほしい、という欲求はある。相手が誰でも−−
 だが−−
 賢吾に対する嫌悪というのか、失望というのか、そんな感情が混ざり合って、高まってきたのだ。
 強引に拉致したうえ、私を縛り上げて弄ぶ、卑劣で無粋な、年下の男。
 そんな奴にいかされたくなんか、ない。
 「楽しませてやる」などと言っておきながら、中途半端なことしかできないくせに−−
 第一、いかせて欲しいと頼んだわけでもないのに−−
 私はあなたのおもちゃじゃないんだから−−
 ねちねちと責められ続けて、私もすっかり疲れていた。
 それで、つい、悔し紛れを言った。
 ふうっ…と溜息をついたあと、視線は合わせずに−−
「…ケンちゃんには…私をいかせることなんて、できないわ…」
 ケンちゃんと呼ばれるのを賢吾は嫌う。それを承知で、まるで子供扱いだ。
 倉田さんと比べることじたい、無理があるのかも知れなかったのだが−−
 その直後、鋭い気配を感じて、太腿の向こうを見ると−−
「…っ!…」
 いけない−−
 賢吾の形相が醜く歪んでいた。

5 禁断の檻

「そうか…わかったよ」
 やれやれという体で賢吾が立ち上がる。 185 cm の巨体が私を見下ろす。
 こっ…
 怖い−−
「俺のテクじゃあだめだって言うんだな?」
「…あ…」
「俺が下手だっていうんだろ、彼氏より」
「…い、いえ…」
「そう言ったじゃねぇか。彼氏のクンニならイクんだろうがっ!」
 歯を剥いて荒れる賢吾に髪をつかまれ、怒鳴り散らされた。
 さっきまでは悔しさと辛さに泣いていた私だが、今度は恐怖から涙が滲んだ。
「…ごめんなさい…お願いっ…乱暴にしないで…」
 いまさらのように思い出す。少年時代の賢吾はひどく我儘で、一度言い出したらきかない性質。何事も自分の思い通りにならないと荒れた−−
 その我儘な少年が、いまそこに蘇っている。
 私が望んだわけではないにせよ、賢吾にしてみれば、私に快楽を与えようと最大限の努力をしていたのだった。それなのに−−
 いくら責めても私は絶頂に至らず、賢吾の努力は報われない。
 あまつさえ、あなたは下手だと宣告してしまった−−
「…私、言い過ぎたわ。許して…」
「イカせてやれなくて悪かったな」
 賢吾が視線を部屋の壁に移した。釣られてそちらを見た私は凍り付いた。
 壁に造り付けの棚。わざとそうしてあるのか、低い視線からでも全貌が見えるようになっている。そこには性具や拷問器具の類がずらりと並んでいた。たとえばバイブレータひとつ取っても、信じられないサイズのや、グロテスクな突起の付いたのが見える。また、さまざまな形状の鞭。大小のロウソク。電源装置らしきものにコードとクリップ。その他、何に使うのかわからないものまで、ぎっしりと陳列されている。
 それで快楽を得る女性もいるのだろうが、私には無理に決まっている。
 まさか、賢吾は、私を拷問?−−というより−−
 荒れた勢いに任せ、凶悪な器具の数々で私の身体を痛めつけようと?−−
 私は秘部をさらして半裸に剥かれ、開脚固定されている。何をされようと抵抗はできない。どんな無茶をされても−−
 傷だらけになって、苦痛と恐怖に悲鳴をあげている私を想像する。
 だが、そうではなかった。
「俺だけで理名をちゃんを満足させられないなら、応援を呼ぶだけだ」
「…え…」
 賢吾が壁際まで歩いて電話機を取る。先に視線を壁に移したのは、電話機を探すためだったようだ。
「お願いします。ええ…どうも俺だけじゃだめみたいで」
 だっ…誰と話してるの?−−
「そうですか…じゃ、今から入ってください」
「…な、何?…何なのっ?…」
 拷問はどうやら免れたようだが、それどころではない辱めが待っているに違いなかった。
「理名ちゃんひとりに、俺を入れて男 5 人がかりってのはどうだい。みんな強力な応援だぜ」
 狼狽する私をよそに、広間の扉がギイと開いた。
「…う、うそっ!…」
 ほかの誰かにこのありさまを見られるなんて、恥ずかし過ぎる。
 だが、それ以上に−−
「素晴らしいタイミングでお呼びがかかったな」
 自分の目が信じられなかった。
「…こっ…耕作伯父さん?…」
「いい格好だな、理名」
「…ど…どうしてっ?…」
「耕作だけじゃないぞ」
 続けてぞろぞろと入ってきたのは、他の伯父たちだった。賢吾に伯父たち 4 人が加わり、総勢 5 名。
 「強力な応援」というのは伯父たちのことだった。
 私がいるとおかしくなるという、曽我の男たち−−その筆頭は伯父たちだ。
 だから、この場面に現れても不思議ではなかったれど−−
 でも−−いくらなんでも−−
「ここがどこかわかるか」
 耕作伯父が言う。
「…」
 あまりの展開に、私の頭はそれどころではなかった。
「曽我の経営するラブホの、『スィートルーム』だよ。賢吾をそそのかしてお前を拉致させて、ここに連れ込ませたのは俺なんだ」
 まさか−−
「賢吾が理名をずっと好きだったのは承知していた。だが、理名の方にはその気が全くないらしい。ならば、いっそ腹いせにでも犯してやったらすっきりするんじゃないか、ってな…それで理名の気が変わって惚れられるかも知れないし」
「…なんていう…」
「古来、女をものにするには力づくが一番だ。そういう強引なのを女も望んでる」
「…じょ、冗談じゃないわっ…」
「そう、冗談じゃないんだ。かくいう俺も、最近の理名には随分とそそられてたんでな…くくく」
「…なっ…」
 仮にも血のつながった伯父が、姪に言うことだろうか。
「褒めてやる義理は、まあ、ないんだが…お前は可愛いし、エロな身体をしてるよ。胸がないのもエロだし、その脚もな」
「…」
「そんなお前が愛嬌を振りまいていれば、ムラムラしてくるのが普通なんだよ」
「…よ、よして…」
「せっかくの賢吾の要請だから、俺たちもご相伴させてもらうぜ…くくく」
 近づいてくる−−
「…い、いやっ!…来ないでっ!…」
 開脚台に縛り付けられた私を取り囲む、賢吾と 4 人の伯父たち−−
「…あ…あ…」
 物心ついてから、伯父たちに裸体をさらしたことは無論、ない。
「この『スィート』を造った時から俺たちみんな、何となく理名を連れ込むことを考えてたんだよ」
「賢吾ほど入れ込んじゃいないが、理名を犯ってみたい気はあったからな」
「それでな…耕作と賢吾が今日この部屋を使うって言うから、だれを料理するんだと訊いたら、理名だっていうじゃないか」
「そんなやばいことをするんなら、兄弟一同で責任取ろうかってな」
 私は凍り付く。
「…気は確かなの?…」
「心配するな。正気だよ」
「…だっ、だって…」
「血のつながってる伯父と姪だからってか?」
「孕ませたらそりゃまずいだろうな」
 露骨な言葉を聞いて、私は震え上がる。
「…そう。そうよ…だめよ…」
 自由のきかない両手、両足。私を捕らえている台がぎしぎしと軋む。
「だがな、理名を可愛がるだけなら構わないはずだぞ」
「それにな…」
「…突っ込むときは…ちゃーんとゴムをつけるから…」
「…なっ…」
 なんていう−−
「そうそう、中に出さなきゃいいんだよ…くくく」
 くくく…という耕作伯父の卑猥な笑い声が、私を追い詰める。
「…やめてぇっ!…みんな…気が狂ってるっ!…助けてっ!…」
 ついに泣きながら助けを求めた。無駄と知りながら−−
「狂ってなんかいないさ」
「理名の方こそ、気が狂っちまうかもな…くくく」
 そうだ−−
「…おっ…お母さんに知れたら、どうするの?…」
「真理にか?…知らせるわけないだろう」
「お前が自分で言うなら別だがな…言うのか?」
「…そっ…」
 言えるわけがない。
「たとえば賢吾と付き合うことになったっていうなら、真理もまあ、想定の範囲内だろうがな」
「だが、賢吾に犯されましたって言うのか?」
「従弟ならまだしもだが、伯父さん 4 人にもマワされました…ってか?」
「まさかなぁ…くくく」
 私は絶望する。縛られて不自由な身体を揺すって号泣する−−
「諦めるんだな。理名と俺たちの秘密にすればいいんだよ」
「この際、楽しもうじゃないか」
「楽しませてやるから…ひひひひぃ」
 私への言葉責めに余念がない伯父たち。そこへ賢吾が並ぶ。
「そうそう、賢吾も惜しかったな…クンニにこだわり過ぎたんだ。そこのオモチャを使えばよかったんだよ」
「そうか…」
「まあ、理名のウォーミングアップとしちゃあ上出来だったんじゃないか。理名の脚も舐めたいだけ舐めて、気が済んだだろ」
 そんなはずはない。気が済んだとは思えない。
「…で、賢吾はいま理名を犯りたいのか?」
「後でいいです」
「爆発しそうなんじゃないのか」
「いいんだぞ。叔父さんたちの前だからって、遠慮するな」
 何ということを−−
「いや…このままじゃ納得が行かないんで。俺の方が先にイッたら悔しいすよ」
「なるほど。よく言った」
 やっぱり、私をいかせるつもりだ−−伯父たちの手も加わって。
「いま、どうなってるんだ」
 良介伯父が耕作伯父に訊く。
「賢吾のテクでは理名はイキそうでイケなかった。それで賢吾が根負けして、理名は不機嫌になってたところだよ」
「そうじゃなくて…アレだよ」
「ああ…どうかな…もう効いてきてるんじゃないか」
 き、効くって−−何が?−−
 耕作伯父が私の太腿の間に入り、秘部をまさぐる。
「…あ…」
 恥ずかしさに、顔を背ける私。
「…ふふふ…細工は粒々…ってとこだな。ばっちりだぜ」
 何を言ってるの?−−
「理名、クリトリスがおっ勃ってるよな」
 えっ−−
「クリがコチコチに充血して、びんびんと痛いくらいだろ」
「…そっ…」
 その通りだった。クンニをされていた時から自覚があったクリトリスの充血。
 それが−−
 伯父たちが詰めかけてそれどころではなくなっていたが、いまやクリトリスの感覚は前にも増して辛くなっている。
 耕作伯父の言った「効いてきてる」とは−−
「ふふふ…わけがわからないんだろ。理名が気を失ってる間に、飲ませたんだよ。バイアグラ」
 バイアグラ?−−
 確か、勃起不全の男性が−−勃起を維持するために服用するという−−
「その顔じゃあ、どんな薬を盛られたか、わかったな…理名は歯医者の大学にいるんだもんな」
「…そっ…それが…」
「理名のそこにはバイアグラが効いてる。効果覿面だ。予想以上だぜ…くくく」
「もう皮から飛び出しちまって、やりやすいじゃないか」
 バイアグラなどを飲まされて、それでこんなことになっているんだ−−
 理由もなくそんなことをするわけはない。
 “やりやすい”って−−クリトリスをこちこちに勃起させて、何を?−−
「…な、何をするの…」
「何をされたい?」
 にやつく耕作伯父。
「遠慮しなくていいぞ」
「…何も、してほしくなんか…」
「嘘つけ。クリはびんびんで、こんなに濡らして、さっきまで賢吾の下手なクンニで生殺し状態だっただろう。一刻も早くイキたいんじゃないのか」
 あのまま賢吾に絶頂させられたのなら、諦めもついた。だが、今は伯父たちが私への責めを始めようとしている。伯父たちにいかされるのは絶対に嫌だ。
「…いきたくなんか、ないっ…」
「おっ、強情だな」
「…伯父さんたちになんて、何もされたくないっ…」
「ほお」
 耕作伯父はじめ、伯父たちの表情が醜くゆがむ。悪い予感がした。
「それじゃ、お前が泣いて頼むようにしてやろうな。いかせてぇ…ってな。くくく」

6 降伏

 耕作伯父が何やら取り出したのを見て、私は目を剥いた。
 毛糸。
 見ただけで鳥肌が立つような、ケバだった糸だった。
「理名のクリちゃんを、こいつで吊ってみような…」
 そんなことをされたらどうなるのか、容易に想像がつく。
「…いっ、いや…そんな…やめて…」
「兄貴たち、理名が動かないように押さえてくれるか」
「よしきた」
 清司伯父と信三伯父が私の腰や太腿を押さえにかかる。
 耕作伯父の手が来た。
「…いイッ!…」
 改めてクリトリスの包皮が剥かれ、その付け根に耕作伯父が糸を絡めた。
 そして−−糸をぐいと引いた。 2 度、 3 度と繰り返す。
「…あぐ、うっ!…ひいっ!…」
「よーし、いい感じだ」
 引く力がゆるむと、その時は楽になる。だが、糸の表面の微細なささくれが、絶えず刺激を与えてくる。
「…うっ…なっ…何をするの?…」
「ふふふ…いい夢見させてやるから」
 いかせて、と私が泣いて頼むようにしてやると言われた、その責めが始まろうとしている−−
 良介伯父が棚から何か持ってきた。道具を使うつもりだ。
「どっちでやる?」
 私には見えないところで、伯父たちが何か協議を−−
「ローターでいいんじゃないか」
「どうせなら、これでいかないか」
「少しハード過ぎるかも知れないぞ」
 私のクリトリスを責め立てる道具を選んでいるのだ。
「ハード過ぎていいんじゃないですか」
 口を挟んだのは賢吾だ。
「さっき、ずいぶんなことを言っていましたよ」
 えっ−−
「そんなクンニじゃ私をイカせるのは無理だってね」
 あのことを、まだ−−
「ほう」
「どうせ犯すならもっときつ〜いので私をイカせてよ〜、ってか?」
「そんな生意気なことをか…よぉーし、それは思い知らせてやらないとな」
「…そっ…そんなこと…言ってないっ…」
「そういうことなんだろ」
 確かに、悔し紛れに強がって言ったことだ。
「…まっ…待ってっ!…ひどいこと、しないで…」
「理名はイカせてもらいたいんだろ」
 懇願しても無駄なようだった。
「こいつで、楽しませてやるよ」
「…ひ…」
 良介伯父が私の目の前に突きつけたのは−−電動歯ブラシ。
 電動歯ブラシの振動がどんなものかを、私はよく知っている。倉田さんに勧められて、自分で使っているからだ。もちろん歯磨きにだが−−歯茎にも性感はあり、電動歯ブラシの振動は心地よく、うっとりすることもある私だ。
 それをクリトリスに当てることなど、夢にも思わなかった。どんな感覚に襲われるのか想像もできないが、そこは最も敏感な神経の固まり。その振動が過酷に過ぎるのだけはわかる。しかも−−バイアグラが作用しているのだ。
 数秒ともたず、いってしまうに違いない。気絶するかも知れない。
「…い、いやっ…それは、いや…」
 怖くなって、思わず口からはそんな言葉が出たが−−
 ドクン−−
 なぜだろう。私の下腹には、むらむらと淫欲が湧き起こってきた。
 まさか−−
 クリトリスが激しい感覚に苛まれることを期待して?−−
「こいつの振動を知ってるんだな…まさか、もう使ったことがあるのか?」
 クリトリスに、ということだろう。私はかぶりを振る。あたりまえだ。
「そりゃ良かった。理名ちゃんはハードなのをお望みなのに、物足りないのじゃ話にならんからな」
 清司伯父と信三伯父が私を押さえつける。
 むらむらと淫欲が高まっていた−−
 私はおそるおそる下腹部の方へ目をやる。耕作伯父の手が、太腿の間から伸びる糸をぴんと張った。
「…あう!…」
 その糸の末端に−−良介伯父が電動歯ブラシの先端を近づけていく。
 ブブブブブブブブ…という蠢動音。
「しっかり押さえててくれよ」
「いくぞ、理名。覚悟はいいか…くくく」
 来るっ−−
 ブブブブブブブブ…
「…ひいいいッ!…」
 激しすぎる感覚に、頭の中が真っ白になった。たちまち私は追い詰められる。
 いく。いってしまう。血のつながった伯父たちに責められて。
 だめっ!…もう、だめっ!…
 −−そのときだ。
 絶頂のほんの寸前で、蠢動は遠のいた。
「…っ?…」
「イキたかったよな、理名」
 爆発寸前のマグマが、私の下腹で沸騰している。
「くくく…同じ生殺しでも、賢吾のクンニより相当にきついだろう」
 絶頂を求める私の下半身が、ひくひくと痙攣する。
 そして−−
 ブブブブブブブブ…
 またしても、それは来た。
「…あ、ぐッ!…いやあっ!…」
 激しすぎる感覚に全身を反り返らせる私。だが−−
 またしても、蠢動は引き剥がされる。
「今度は 2 本だぞ」
 ブブブブブブブブ…
「…きゃああっ!…」
 その忌まわしい器具は一瞬だけ私の急所を刺すと、すぐに離れるのだ。
「…やめてっ…お願い、気が…」
 このままでは気が狂ってしまう。
「おねだりしてみろよ。いかせてくださいってな」
 耕作伯父に?−−お願いを?−−
「何をためらってんだ。そんな余裕があるのか?」
 ブブブブブブブブ…
「…きゃあっ、あぐ、うあッ!…」
 毎回、歯ブラシの本数が増えていく。
「…い、いかせてっ…」
「伯父さま、理名をいかせてください、だ」
 もう余裕はなかった。悶え苦しみながら、復唱した。
「くくく…イキたいのか。そうかそうか…だ ・ め ・ だ」
 かっと目を見開く。涙が散った。
「初めから素直にそう言えばいいものを」
「…どっ…どうすれば…いいのっ…」
 喘ぎ喘ぎながら、やっとのことで言った。
「お前がイク前に、俺たちをイカせてみろ」
 伯父たちが−−ズボンのファスナーを開けて−−
 何をさせられるのかわからないでいると、両腕の縄を解かれた。そして、髪を掴まれて首を起こされた。
「まずは俺のからだ。咥えろ」
 目の前に、耕作伯父のペニスがいきり立っていた−−
「…うぐぇっ…」
 フェラチオ。倉田さんにもまだしたことはない。生まれて初めてだ。
 精液の匂いがぷんぷん匂う。それで喉を塞がれたとき、胃液がこみあげた。
「唇をすぼめて、根本からカリのところまで往復しろ。舐めた唾液は全部飲め」
 吐き気をこらえながら、その往復運動をする−−というよりは、髪をつかまれて、無理やりさせられた。
「歯を立てるなよ。早く楽になりたかったら、早く俺をイカせるんだな」
 耕作伯父を射精に導くまで、この状態が続くのだ。やむを得ず、男性が最も感じるという亀頭の周辺部を丹念に舐めていくと−−
「よーしよし…なかなかいいぞ、理名…そうそう、その調子…そうだっ!…」
 私がフェラチオをさせられている間、賢吾がまたしても私の股間に頭を沈めていた。私の官能が温度を下げないようにということらしい。
 今度は単調なクンニではなかった。クリトリスの糸を操り、剥き出されたそれをしきりについばもうとする。あるいは頭を離し、クリトリスからヴァギナ、会陰、アヌスと、手にした筆で肉襞をなぞっている。
 そのせいで、私の下腹に充満したマグマは依然として沸き立ったまま。たまらず、耕作伯父への“奉仕”を少しでも休もうとすると、
「…あぐうっ!…」
 クリトリスの糸がぐいと引かれた。
 やがて耕作伯父が射精の前兆を訴える。私は口を離そうとしたのだが−−
「馬鹿野郎。口内発射だよ」
 頭をがっしりと押さえ込まれた。
「おおっ」
 耕作伯父が呻くと−−
 どぴゅ、ぴゅ。
 私の喉奥へ向けて注ぎ込まれる汚濁。
 口中に広がる精液の味に、私はたまらず嘔吐しかける。だが−−
「おっとっと。理名ちゃん、全部飲まないとだめだよぉ」
 上下の顎を力ずくで抑えられ、口を開くことはできず−−私は、逆流した胃液とともに、耕作伯父が流し込んだ精液をやっとのことで飲み下した。
 激しくむせかえる私。涙で視界がぼやけた。もう、吐き出せない。
「まだ終わりじゃないぞ」
 再び押し込まれる耕作伯父のペニス。
「綺麗にしろ。お掃除フェラってんだ。覚えとけ」
 鼻を摘まれて、舌と唇で亀頭の周辺を舐める−−それも、飲み込まされた。
 それで、やっとひとり目が終わり。次いで、若い方から良介伯父、信三伯父、清司伯父−−と、順番に咥えさせられたのだ。私は、伯父たち全員の精液を飲み下した−−
「よおし、では、俺たちが楽になったところで」
「理名も楽しませてやるとするか」
 改めて両腕を縛られた。伯父たち 4 人が 4 人とも電動歯ブラシを手に迫る。
「…あ…」
 ついに−−
「さんざん焦らされたから、爆発する時はきついぞ。覚悟しろ」
 再び、クリトリスの糸が引かれて−−
 ブブブブブブブブ…
 4 本の歯ブラシが来た。そして−−
「…ひいいいッ!…」
 全身をがくがくと硬直させて、私はあっけなく絶頂した。だが快楽よりは、絞り取られる苦痛が勝った。
 同時に−−
 シャアアアアア…
 私はその場で大量に失禁してしまった−−

「理名ははしたない娘だなぁ…」
 床の尿を伯父たちが淡々と始末している。
「イカせてもらった上に、お漏らしとはな」
 激しい絶頂と同時に失禁して、私は力を失っている。
 呼吸が追いつかないほど、苦しい。
「これはお仕置きが必要じゃないかね」
「そうだな…では」
 良介伯父が私に見せつけたものは−−
 プラスチックの袋に大量に詰められた、注射針。
「…な、何を…」
「お仕置きだと言ったろう」
 良介伯父がそれだけ言うと−−
 ぶすり。
「…うあっ!…」
 右の太腿に注射針を突き刺されたのだ。
「大丈夫…消毒してあるし、太腿にぶっ刺すだけだから…ひひひ…」
 にじんだ血を耕作伯父がぺろりと舐める。
「理名のこの綺麗な脚に、針を刺してみたかったんだ」
「…へっ…変態っ…」
 鋭い痛みに苛まれながら、耕作伯父を睨んだ。
「そうともよ。俺らは変態だ」
「だがな、その変態の手にかかってヨガってるやつも、変態に違いないんだぜ」
「お前にも同じ血が流れてることを、思い知らせてやるから…くくく」
 顔を背ける私。
「さあ理名。一度イッたくらいで休ませはしないぞ」
 絶頂すれば次は犯されるのだと思っていたが、違うようだった。
 まだいかされるのだ−−
「お漏らしは許さんぞ。お漏らしをしたら、そのたびにお仕置きとして 1 本ずつ針を刺していく。後で邪魔にならないように、外側に刺していくからな」
 邪魔にならないように−−とは、私を犯すときのことを言っているのだろうか。
「…やっ…そ、そんな…」
「我慢すればいいんだよ…ひひひ」
 いま失禁したばかりだ。尿は出ないだろうが−−
 絶頂させられれば、いつかのように潮を吹くかも知れない−−
 その不安が胸をよぎったときだった。
 ブォン…
 バイクの排気音のような−−
 続けて、同じくバイクや、車のものと思しき排気音も聞こえてきた。近い。
 それも、 1 台や 2 台ではない。大挙駆けつけたという気配があった。
 いやな予感がした。
 ここはラブホテルだ。他の客が乗り付けたということも考えたが−−
 団体客などというものは普通はないはずだ。そう、普通は−−
 私の置かれている状況が普通でないだけに、悪い予感は募る。そして−−
 私の予感は的中したようだった。
「来たな」
 清司伯父の一言が、私の心臓を強打した。

7 オスの群れ

「…何?…」
 他の伯父たちにもバイクや車の排気音は聞こえているはずだが、怯える私の反応を楽しむかのように、無言だ。
 扉の向こうに何者がやって来ているのか、私には見当がついてしまった。
「またまた応援が来たようだぞ、理名」
「…やめてッ!…もう、よしてッ!…」
 あまりの仕打ちに、私の両目から涙が溢れている。
「何をだ」
「まあ、この流れなら想像もつくだろうがな」
 賢吾が扉のロックを開ける。
「…待ってっ!…開けないで、賢吾さんっ!…」
「そんなわけにいくかよ」
 ギイと音がして−−
 ぞろぞろと入って来たのは、従弟たちだった。おびただしい数のオスたち−−
「…いやああッ!…来ないでっ!…入って来ないでぇっ!…」
 半ば諦めながらも、叫ばずにいられなかった。
 いったい、何人?−−
 従弟たちの全員であってもなくても事態はさして変わらないが、せめて人数は少なくあってほしいと、そのとき私は願った。輪姦されるに違いないからだ。
 最悪の場合、賢吾を入れて 23 人。 16 歳から 22 歳まで、「やりたい盛り」と言われる年齢の集団。 1 回や 2 回ずつでは足りないに違いない。一晩かかっても、終わらないに違いない。
 しかし−−私の悪い予感は必ず当たり、期待は外れる。全員が揃っていた。
 22 歳の賢吾を筆頭に、 21 歳が 4 名、 20 歳が 5 名、 19 歳が 4 名、 18 歳が 3 名、 17 歳が 4 名、 16 歳が 2 名−−名前は出てこないが、年齢の構成は頭に入っている。
「応援が増えたところで、そろそろ再開といくか」
 従弟たちに取り囲まれ、見下ろされた。
 あちこち伝染している、ガーター式の黒いストッキング。
 汗にまみれた肌、振り乱した髪。そして、じっとりと濡れて光る秘部も、陰毛も、すべて−−見られている。
 そのひとつひとつが、若い彼らにはひどく刺激的なはず。
 そもそも、全裸に近い状態で縛り上げられている女の姿など、見たことがないのが普通だろう。
 その彼らが無言なのが、却って恐ろしい。
「…おっ…伯父さん…」
 良介伯父の方を向いて言う。口を開くと、涙がまた溢れた。
「…なぜっ…」
「賢吾以外の連中も、理名とやりたいのさ」
 あっさり答えられて、しばらく呆気にとられた。
「…そっ…それにしたって…こ、こんな…」
「なぜこんなに大勢で一度にかって?… 1 人ずつなら理名はオーケーなのか」
「…そんなっ…そんなことじゃ…」
 どうして私を追い詰めるようなことばかり−−
「外部には絶対漏らさない。こういうことは、関係者全員揃っていたほうがいいんだよ」
「 16 歳から 22 歳まで、みんなお前にそそられてんだ。たまに帰ってくればお前は愛嬌を振りまいて、こいつらを挑発してたからな」
 そんな−−
「いつまでもそのままでは暴発しかねないから、俺たちの監督下で思う存分、やらせることにしたのさ」
「理名には少々ハードかも知れないが、安全は保障するから…くくく」
 つまりは輪姦されるのだ。 23 人のオスに−−
「耕作伯父さん…いつ、始めるんですか」
 輪姦を−−という意味だ。
 訊いたのは従弟のひとり。
「こんなの見せられちゃったら、たまんないすよ」
 緊張が解けたのか、新たに加わった 22 人の従弟たちがざわつき始めた。私の顔と身体の各部とを交互に見比べながら、卑猥な笑みを浮かべ、ひひひ…と、笑い声を立てる。
 その声と視線は、私を完全に見下し、侮辱しようという悪意に満ちている。
 私の乳房も秘部も露わにされている。腕も足首も縛られている私には、顔を腕の間に隠す以外になすすべもない。
「いやらしい格好だよねぇ、理名ちゃん」
「ケンちゃんや伯父さんたちと、もうやったのかい」
「彼氏といつもやってるんだろ。俺たちにも教えてくれよな、セックス」
「…やめてぇ…」
 彼らはいま、彼らの誰よりも年長であるはずの私を、単なる性欲の対象としてしか見ていないのだ。いや、年長だとは言っても賢吾が 1 歳下で、最年少でも 7 歳しか違わない。彼らとの年齢差など、何の意味もない。
「あのさ、さっきから気になってんだけど…この針は?」
「理名ちゃん、もしかしてマゾ?」
「ひょうー、針をぶっ刺されるのが好きなのか」
 従弟たちが調子に乗って私を追い詰めるのを、伯父たちは傍観するだけだ。制しようとはしない。
「順番、決めようぜ」
 このまま、輪姦が始まる−−そう思ったとき、耕作伯父が口を開いた。
「まあ待て」
 私の顔の側に来てかがむ。私の頭の下に腕を回し、持ち上げる。
 涙にまみれた私の顔をおしぼりできれいに拭い、乱れた髪を指で器用に整えてくれる。
 いったい、何のつもりだろう−−
「理名はやっぱり綺麗だな。法事で化粧もほとんどしてないのに、この美貌だ」
 何を言い始めたのかと、私は怪訝な視線を送る。
「お前たち、理名は年上だけど、可愛いと思うだろ」
 従弟たちは、うん…とあっさり頷く。
「理名と早くやりたいとは思うが、ちょっと我慢してくれ」
「なんで?」
「お前たち、理名がこの可愛い顔を苦しみに歪めて、何度も何度もイクところを見たいと思わないか」
 私はぎょっとして、耕作伯父を見る。
 そう−−伯父たちは 1 度の絶頂では許しはしないと言っていた。
「その間、俺たちはどうすんの?見てるだけじゃいやだぜ」
「もちろん、手伝ってもらう」
 私を強制的に絶頂させるため、従弟たちに手伝わせる?−−
 犯されるのももちろん恥辱だが、彼らの手で絶頂に追いやられるのはそれにも増して恥ずかしい。
「へぇ…理名ちゃんを犯る前にイカせまくるのか…」
「伯父さん、もしかして、俺ら全員でかかるの?」
「…そうよ」
 えっ−−
「縛られてる理名ちゃんを俺たち全員で、寄ってたかって責めるわけ?」
 こ、この人数で?−−
「…なんか拷問みたいだぜ。面白そうだ」
「その通り。れっきとした性の拷問さ」
「…い、いやッ!…」
 従弟たちが舌なめずりしながら顔を近づけてくる。
「犯るのは後でちゃんとできるんだろ?…なら」
「見たいかな…理名ちゃんが悶え苦しむところ。イクところもな」
「賛成」
 曽我家の男たちはサディスト揃いなのか−−性の拷問を私に加えるという話に、従弟たち全員が乗ってしまった。
「話がついたところで、ちょっと講釈をさせてくれ…お前たち、来てみろ」
 従弟たちが良介伯父に促され、私の秘部の正面にぞろぞろと集まって来た。賢吾はやはり傍観している。
「…やっ…」
 22 人の目にそこを見つめられる。これ以上の恥ずかしさはない。私はまた顔を腕の間に埋める。
「これが理名ちゃんのアレか…綺麗な色、してんだね」
「濡れて光ってるのは?」
「ブチ込まれる準備ができてるのさ」
 女性器を初めて見る者もきっといるのだろう。まるで性教育のサンプル。
「で、…勃起したクリトリスってのはこういうのだ」
 良介伯父が私の陰毛をかき分け、そこの皮膚をくつろげて見せる。
 そして−−糸を引く。
「…うあっ!…」
「普段は隠れてるんだが、昂奮するとこんな風に大きくなる」
「チンポと同じじゃん」
「その通り」
 へぇ…という声が出る。
「チンポと同じように、大きさには個人差がある。理名のクリトリスはぽっちりと大きめだな」
 私自身、そこをよく見たことはない。まして、他の女性と比べたことはない。
「勃起してるだけじゃない。いま理名のクリは、外側の皮が剥けて本体が飛び出してるのさ」
「皮が剥けるってのも同じだ」
「ここが一番敏感なんだろ」
「そうさ。男のチンポが感じるのと同じだが、チンポよりずっと可愛らしい分、何倍も敏感らしい。こんなに小さいんだが、まさに神経の固まりだ」
「なんで糸が付いてんですか」
「理名はこうやって責められるのが好きなんだ。さっきもこれで 1 回だけイッてるんだぞ」
「…や、やめてっ…」
 上は 21 歳から下は 16 歳までのオスたち。興味津々という様子で私のそれを凝視する。
「…もう、もうやめてっ…」
 死んでしまいたいほどの恥ずかしさに、私は懇願する。
「まあ待ってろ。ここからが肝腎だ」
 良介伯父は絶好調だ−−
「クリにはチンポと違うところもある…出口がない。そうだな…だが、そこがいいんだ。男は射精したら一旦おしまいだろう。勃起も萎える」
「うん」
「女はイッてもクリが萎えることはない。感覚が静まるまで、おっ勃ったままだ」
「…じゃ、一番敏感なクリをずっと責めていれば、何度もイクわけ?」
「簡単に言えばそうだが、女体はそんなに単純なものじゃない。クリだけ責めてればいいってわけでもないんだよ」
「…だから…」
「クリは俺と耕作でやるから、お前たちにはクリじゃないところを任せたい。クリが感じるのはもちろんだが、女の身体はもっと都合よく出来てるんだ」
「…都合よく…って?」
「あちこちに感じる部分があるのさ。これも個人差があるんだが…理名はどうだった、賢吾」
「全身感じるみたいだぜ」
「ふふふ…そうか…これは面白い」
 面白いって−−
「これぞ性教育ってもんだな…おい、信三兄のとこの末っ子。ここに来てみな」
 信三伯父の五男は 16 歳のはず。彼が、私の右の二の腕のところに来た。
「匂いを嗅いでみな」
 彼が、私のそこに鼻を近づけてくる。
「…いい匂いがする」
「そう。昂奮した女は甘い香りを全身から発散してる。味わうように舐めてみな」
 ぺちゃっ…。
 彼の唇が張り付き、やがて舌が触ってきた。舌使いは幼いが、丹念だった。
「…んっ…」
 声が出そうになるのを堪えて身をよじった。だが、それでも十分だったようだ。
 従弟たちの間から、おお、という声が出た。
「なっ…いま、わかったろ」
「うん」
「理名は敏感だから、丁寧に責めればそこらじゅう感じるはずだ。たとえば…」
 良介伯父が私の手を取り、手のひらに鼻を近づけた。そして息を吹きかける。
「…あっ…」
 思いがけない感覚に、声が出た。
「すげえ…手まで感じるのか…」
「それで、だ。お前たち、どこでも舐めていいと言われたら、理名のどこを舐める?…そこに移ってみな」
 言われるが早いか、賢吾を除く 22 人の従弟が私の周囲を動き回った。
「ほう、なるほどな」
 年長の者を中心に、両脚に半数以上が集まっている。年少の者は胸の辺りが多い。
「脚はいまそこにいる… 16 人に任せるか。初めていいぞ」
 えっ−−
 彼らは顔を見合わせ、そしてまもなく、私の両脚に群がってきた。
「…い、いやっ!…」
 賢吾ひとりに責められていたときでさえ、辛かったのに−−
 太腿に。膝に。ふくらはぎに−−左右 8 人ずつがむしゃぶりついていた。
「…ああっ、あうッ!…」
 足首を固定されているうえ、この人数にすがりつかれては全く抵抗できない。
「理名は脚が感じると…これまで見せびらかしてきた分、たっぷりお返しされるぞ…くくく」
 16 人ということは、唇や舌や歯が 16 で、指は 160 本。どこをどうされているのか、もはやわからない。ただ、ねっとりとした辛い性感が左右の脚を包む。
「足の指も、そのマタのところも大事な性感帯だ。さっき賢吾がさんざん舐めた後できれいだから、お前らもしゃぶってみな」
 下肢に吸い付いていた 2 名が実行する。左右を一度にではたまらない。
「…うっ!…いや、いやあっ!…」
 クリトリスがまたじんじんと強ばってきた。
「じゃあ、次は… 16 歳の 2 人。オッパイを揉んだり吸ったりしていいぞ」
 いちばん若い従弟たちに責めやすい部位を任せるということか−−
 左右一度に来られた。
「…うあっ!…」
「理名は貧乳というやつだが、そのぶん敏感なようだ。お前ら、責任重大だぞ」
 良介伯父に言われるまでもなく、賢吾よりも彼らはむしろ丁寧で、同時にしつこかった。乳首を吸い、乳房を口に含む。左右 10 本ずつの指が揉んでくる。
「乳首にときどき歯を当ててやれ…軽くだぞ。噛むんじゃないぞ。傷つけるな」
 そんな指示が出されると、彼らは素直に実行する。びりびりと電流が来る。
「…ああ、あうッ!…やめてぇ…」
 すでに“担当”の決まった従弟たちは夢中で私を貪っている。その熱心な様子と私の苦しみようを観察していた残りの従弟たち。お前はここ、と順に“仕事”を与えられるや否や、激しくむしゃぶりついてきた。
 脚と乳房だけで、私を追い詰めるには十分すぎるほどだったが−−
 左右の脇腹に 2 人。左右の腕から腋の下に 2 人。うなじと耳には賢吾−−
 こうして 23 人の分担が決まった。どこかで責めの種類が変わると、そのたびに私は新しい反応を示してしまう。
「責めるのに夢中にならないで、理名の反応を見てろよ。いま自分がしたのが理名を苦しませたとわかったら、それを徹底してみろ。理名がなるべく苦しむように工夫するんだぞ」
 数に任せておもちゃにされるばかりではなく、実行部隊に指示を出す参謀役がいる。私ひとり狂わせるには十分だった。賢吾ひとりのときとは比べものにならないほど、過酷だった。
 クリトリスの感覚はますます高まっている。
 しかし−−
 どんなに全身の性感を刺激されても、それで絶頂に至るわけではないのだ。

8 濁流

「…ああ、あっ!…うっ!…もう、やめてぇっ!…」
 23 人がかりの全身性感帯責めが続けられたいた。気が狂いそうだった。
「ふふふ…理名よ、お楽しみだな」
 伯父たちによる過酷な責めが再開されようとしていた−−
「これだけの人数に愛されてたら、女冥利に尽きるだろ」
 そのセリフは、耕作伯父が斎場で言ったもの。
 もしや、こんな責めを想定してのことだったのだろうか−−
「全身責めを始めて 30 分だ。このまま一度もイカなければ気が変になるよな」
 たしかに−−その間、私の身体は一度も絶頂を味わっていないのだ。
 もちろん、従弟たちに責められて昇り詰めるところなど見せたくはない。こらえきれるものならこらえたい。だが−−そもそも、いきたくともいけないのだ。秘部には誰も手を出していないから−−
 淫欲のマグマはむらむらと湧き起こり、解消されないまま、再び爆発の時を待っている。たとえばいまクリトリスに振動を受ければ、ひとたまりもないはずだった。
「理名…イカせて欲しいか?…」
 良介伯父が言う。
「イカせて欲しければ、そうお願いするんだ」
「…む…」
 懇願したい気持ちは十分にあったが、言えなかった。恥ずかし過ぎるのだ。
「言わなければ、ずっとこのままだぞ」
 また、さっきのような−−
「従弟たちは、飽きないように少しずつローテーションしてるからな。何時間でも続けられるぞ」
 ぞっとした。 30 分で私は息も絶え絶えなのに−−
 そう言いながら、良介伯父は糸をぐいと引く。そしてまた力を緩める。
「…ああ、あっ!…」
 それでも、それだけでは絶頂しない。淫欲がまた高まっただけだ。
「…もう、もう許してぇ…」
「自分の口でお願いしろ」
「だがな、さっき言った通り、お漏らしでもしたらお仕置きだぞ」
 あっ−−
 そうだった。尿であろうと、潮であろうと、液体を出したら注射針が来る。
 でも−−
 その痛みは、絶頂を我慢させられる苦しみに比べれば、大したことではない。
「どうなんだ」
「…ひいいッ!…」
 今度は耕作伯父が、また糸を引く。今度は引かれたままだ。
「早く言わないと、気が狂うぞ」
「…おっ…」
 限界だった−−
「…お願いっ!…いかせて…くださいっ…お願いッ!…」
 泣きながら懇願する私。
「よーしよし…そうか、どうなっても知らんからな」
 良介伯父の手が来た。もちろん手には電動歯ブラシが握られている。それが触れるよりもわずかに早く先の感覚が蘇って、私は早々と硬直した。
 ブブブブブブブブ…。
「…ひいいいッ!…」
 私はたちまち絶頂へ追いやられる−−同時に−−
 びゅうっ!…
 液体がほとびり出た。尿ではない。心配した通り、潮を吹いてしまった−−
「…あっ…ううっ…うむっ…」
 ぶくびくと硬直する私の全身。従弟たちは私の身体から離れ、無言のまま見下ろしている。起こったことが理解できないのか、彼らは静まりかえっている。
 口を開いたのは、伯父たちだった。
「おおーっ…」
「理名は潮吹き娘だったのか…」
 傍観を決め込んでいた清司伯父と信三伯父がのぞき込んでくる。
 見られてしまった−−
 いくところだけではない、潮を吹くところまで。伯父や従弟たちに−−
「彼氏に相当仕込まれてるな、こりゃ。そうだろ?」
 恥ずかしさに、私は顔を背ける。
「図星だ」
「理名の彼氏も相当やるようだな」
「こりゃ、賢吾じゃかなわないわけだ」
 また、それを−−
「だがな、理名…」
 ぶすり。今度は左の太腿に針。
「…ううっ!…」
「まあ、俺たちもダテに歳は取ってないからな…そのテクニシャンの彼氏より、俺たちの方が凄いだろうぜ」
「人数もだが…薬も盛るし、小道具も揃ってる。こうやって<全身責め>部隊を組めるしな…くくく」
「こうなったら、腕によりをかけて…」
「とことん潮、吹かせてみようか」
 私への責めはまだまだ続くようだった。従弟たちがまた、群がってくる。
 再び糸が引かれ、電動歯ブラシが来て−−
 今度はそれでは済まなかった。バイブレータが入ってきたのだ。
「…うああっ!…」
「クリ責めに加えてこいつでシゴけば、たまらんだろう」
 一度いったあとは、続けていきやすくなっている。
 すっかり濡れている私のそこをバイブが抉り、前後に運動する。膣壁の敏感なスポットが激しく刺激されて−−
「…うっ、いやッ!…あっ、だめっ!…」
 たちまち次の前兆が来た。
「…ん?…もうなのか?…もうだめか?…」
「…ま、また来るっ!…だめッ!…」
 びゅう!…びゅうっ!…
「ほおら、またイッたぞ」
 ひょおおおお。
 従弟たちから歓声が上がる。
「さっきより多いんじゃないか」
「理名はバイブが気に入ったと」
 再び針が打たれる。責めは止まらない−−

 それから 1 時間。
 「スィートルーム」は白熱していた。
「…ひぐ、うっ!…も、もう許してえっ…」
 4 人の伯父と 23 人の従弟から容赦のない責めを受けている理名。
 全身の性感帯を貪られ、糸で吊られたクリトリスには電動歯ブラシが絶妙の蠢動を加えている。
 そして、ヴァギナを抉るバイブレータ。
 理名を続けざまに絶頂させて潮を吹かせ、潮を吹いたといっては太腿に針を突き刺す。
 逃げ場のない官能地獄に悶え苦しむ理名。その口は泡を噛んでいる。
 理名の左右の太腿−−
 ストッキングの上から、左右にちょうど 5 本ずつ注射針が突き刺さっていた。まだわずかに鮮血が滲んでいる。最初の失禁のあと、もう 9 回も潮を吹かされたのだ。
「いやいやといいながら、イクたびに敏感になってきてるのはどうしてだ」
 なぜだか、注射針を刺されるたび、痛みとともに甘美な感覚が増す理名だ。
「針責めにされて昂奮してるんだろう」
「理名はどうして、大したマゾッ子だよ」
 理名はそれを認めたくなかった。針を刺されて昂奮するなんて−−
「まあ、何回続けてイケるか、試してみような」
「…もう、もうやめてぇ…」
「まだまだ、こんなものじゃないぞ。ほんとはまだまだイキたいんだろ?」
 バイブの抽送が激しくなる−−
「…だ、だめっ!…またいくっ!…」
 びゅう!…
 激しく痙攣しながら、理名は再び昇り詰める。
 ほとびる液体は少量になってきてはいたが、快楽はむしろ深くなっていく。
「…む、無理っ…もう、いけない…死んじゃう…」
 懇願する理名だが−−
「とかなんとかいいながら、クリはまだ真っ赤に充血してるぜ」
「こういうのはどうだ」
 理名の乳房に、なにやら滴るものがあった。
「…えっ?…」
 ローションだ。ピッチャーになみなみと湛えられたそれを、清司と信三が理名の左右から垂らしていく。乳房、二の腕、腋の下、脇腹、太腿、下肢−−
 垂らされたローションをその部位にいる従弟たちが指で広げ、肌を撫で回しては、また舐める。
「…いっ、いいいッ!…」
 ローションが新しい官能を呼び覚まし、理名をさらに苦しめていく−−
「最後の一滴まで絞り取ってやろうな」
「…ああっ!…お、お願いっ…たすけてっ!…ああ、いくっ!…」
 びゅうっ!…
 気絶も許されない、性感地獄だった。

 さらに 1 時間−−
 本当に最後の一滴まで愛液を搾り取られ、理名は文字通り精根尽きていた。
 縛られたまま、理名はぴくりとも動かない。
 首は右へがくりと崩れている。半開きの両目から伝う、涙の跡が痛々しい。
 そして開脚台の、理名の美しい両脚−−
 左右の太腿は、注射針で針山のようだ。
 そして太腿の間には夥しい量の愛液が垂れ流され、池のようになっていた。
 か細い理名の身体のどこからこんなに大量の液体が搾り出されたのか−−と、空恐ろしくなるほどだ。
「…右が 12 …左が 11 … 23 回出したと」
「最初にしてはなかなかの数字だよ」
「まあクリ責めは過酷だし、ローションをどっさり使って、 23 人がかりでナメナメしてればなあ」
 賢吾が口移しで理名に水を飲ませている。それを数回繰り返し、理名が息を吹き返した。
「満足しただろう…理名」
「…う…」
 もう、口をきく体力も残っていないのだ。
「…や、休ませて…」
「馬鹿を言え。自分だけ気持ち良くなっておいて、それで済むと思うのか」
「いよいよ、まずは伯父さんたちとのセックスだよぉ」
「その後は従弟たちだからな」
 性の拷問を尽くされた開脚台。そこから理名はやっと解放された。
 ブラウスを脱がされ、ストッキングだけのほぼ全裸に剥かれると、改めて両腕を後ろ手に縛られる。そのままベッドへ運ばれ、仰向けに横たえられた。
 輪姦が始まるのだ。
 最初は耕作だった。年齢順ではない。この日の功労者だからだった。
 ずうっ−−
 耕作のペニスが理名を貫く。
「…うっ!…」
 とうとう、血のつながった伯父に犯された−−
 その衝撃に、理名の両目からまた涙がこぼれる。
「悲しむことはないぞ、理名…」
「小さいころから可愛がってきただろう。大人になったらなったなりに、可愛がり方を変えてるんだよ」
「ちゃんとゴムを被せてあるから心配するな」
 姪を犯す、鬼畜たちの輪。
 耕作が終えると、良介だ。ひとりが射精を終えると次のひとりが続く。伯父たちは先に理名の口を犯していることもあり、 1 度で済むのだが、その後は−−
 何度射精してもすぐに回復する、従弟たちのレイプの輪が続くことになる−−

9 宴の後

 明くる日曜−−目を覚ますと、昼を過ぎていた。
 私が従弟たちに夜通し輪姦され、解放されたのが午前 4 時くらいだった。
 賢吾と耕作伯父に浴室で身体を清められて、そのまま全裸で寝かされた。
 部屋は暖かく、湿度も保たれて、ぐっすり眠ることができた。
 あれだけの陵辱を受けて精根尽き果てていたのに、 8 時間足らずの睡眠で覚醒したのが不思議なくらい。 1 日余計に寝ていたのではないかと、日付を確かめるまで心配だったほどだ。
 身体に力が入らず、下半身が重い。クリトリスにも秘裂にも感覚が戻らない。
 けれど、今日は帰らなくては−−
 やっとのことで身体を起こすと、傍らのテレビに何かの映像が流れていた。
 それがテレビ番組でも映画でもなく、
「…っ!…」
 私が陵辱されている映像であるとわかるのに、時間はかからなかった。
 開脚台に縛り付けられて、従弟たちに全身を貪られている私。その時はどこをどうされているのかいちいち分からなかったが、こうして映像を見るとその凄まじさがよくわかる。なにしろ、男の頭と手がびっしりと並んで蠢き、その隙間から私の顔と各部の肌が垣間見えるだけなのだ。
 男たちの顔にはなぜか目隠しが入り、私の顔だけが確認できる。
 汗と涙にまみれ、髪は乱れているが−−我ながら、綺麗に撮れていた。
 そして、悶え苦しむ私の表情は、エロティックだった。
「もう起きたのか」
 男の声がして、びくりと固まった。シーツで身体を隠した。耕作伯父だった。
「疲れてるだろう…大丈夫か」
 あれだけのことをした首謀者のくせに、「大丈夫か」はない−−そう思ったが、なぜか腹は立たなかった。そして、以前の嫌悪感は消えていた。
「食事を持ってきた…まず、水分を取るといい」
 耕作伯父はここの管理者だから、自由がきくのだろう。冷たい水があり、パンにコーヒー・ジュースの簡単な食事だったが、今の私には十分だった。
 私がベッドで食事をしている間、耕作伯父は広間の片付けをしていた。私を苦しめた開脚台は、何事もなかったように部屋の中央に鎮座している。小道具類は棚に収められ、私が搾り取られた愛液もきれいに片付けられていた。
『いやあああッ!…』
 私の悲鳴がテレビから聞こえ、映像にまた目を遣る。最初の絶頂で失禁しているところだった。
「…伯父さん…」
「何だ」
「このビデオ…」
「ああ…最初から最後まで、撮ってあるんだ」
「…ひどい…」
「悪く思うな。理名は綺麗に撮れてるよ」
「…こんなもの撮って、どうするの」
「俺たちのお楽しみに使うだけだ。理名にいつも会えるわけじゃないからな」
「お楽しみって…」
「想像がつくだろ。すごいエロなシーンの連続だ。これを見ながらみんな性欲を処理するんだよ」
「…ばか…」
「そう言うな。理名みたいな可愛い娘が全身責められて悶えたり潮を吹いたり、輪姦されたりしてるシーンは、男の夢みたいなもんだよ」
 男の夢?−−欲望を果たしただけじゃない。
 でも、なぜか悪い気はしなかった。
「私以外、みんな目隠しがついてるのは?…」
「男は醜悪だからな。綺麗なものだけ残せばいいんだ」
 なんだか言いくるめられたような気もしたが、もう大抵のことには動じなくなっていた。
『うあっ!…』
 私の鋭い悲鳴。失禁して、お仕置きに注射針を刺されたシーンだ。
 そのときまで、シーツに隠れて、太腿に包帯が巻かれているのに気づかなかった。いったいどれだけ刺されたのかわからないが、痛みはあまりなかった。
「伯父さん…何本刺したの?…針…」
「左右で 23 本…だったな」
「…ひとでなし…」
「ちょっと痛々しいが、でも理名は感じてたよな」
「…適当なこと言って…変態…」
 話しながら、食事を終えた。
「…私、帰らなくちゃ…」
「ああ、それは大丈夫だ。P市まで俺が車で送る」
「…列車で帰ります…」
「だめだ。くたくたに消耗してるはずだからな。車の中で眠っていけばいい」
 確かに列車で帰るのは無理な気もする。座っていてもふらふらするのだ。
「昨夜、俺たちに何回犯られたと思う」
「…わかるわけ…」
「全部で 85 回」
 とんでもない数だったが−−意外ではなかった。人数が人数だから−−
「理名は輪姦のときも集団で来られて、またイカされてたな」
 そう−−くじで決めた順番でひとりずつだったが、全身性感責めに味をしめたのか、ひとりが私を犯している間、他の者も手を出していた。特に 21 歳の 4 人は、それぞれがもう経験があるうえにチームワークがよく、いつも 4 人がかり。それを真似て 20 歳の 5 人も、 19 歳の 4 人も同じことを始め、また 18 歳以下が全員組んで 9 人。賢吾は伯父たちと組んでいたっけ…。そうやって、いつも私は数名の集団に代わる代わる陵辱されていたのだ。

 私が着てきたもので無事だったのは、コートと靴の他はスーツの上下のみ。耕作伯父の見立てで服を買ってきてもらった。下着とストッキングにブラウス。高級でお洒落なものを選んでくれたのが意外だった。
「田舎に帰ってこいよ」
 車内で、耕作伯父に説得された。
「賢吾のヨメになってやれ…昨夜のことがあっても、あいつは理名と一緒になりたいって言ってたぞ。理名とセックスをしたいだけじゃない。それももちろんあるが、あいつは理名にほんとに惚れてるよ」
 ここまで陵辱の限りを尽くされて、もはや倉田さんと恋人ではいられないのは確かだった。
 そして−−
 どんなテクニシャンの男より、伯父たちの方が凄い−−
 そのことを、私の身体は、文字通り死ぬほど思い知らされてしまった。
 死ぬほど辛くて、恥ずかしかった−−そして、死ぬほどの快楽−−
 でも、耕作伯父の言うとおり、「女冥利」だった。
 こんな快楽を与えられる女は滅多にいないはず−−
 倉田さんひとりとのセックスでは、もはや満足できない気がする。
 だが−−
 たとえ賢吾と一緒になるとしても、それで済むとも思えない。
 他の従弟や伯父たちと何事もなかったように付き合うこともできない。
 従弟たちはそれぞれに相手を見つけて落ち着いていくだろう。特に、若い者はいつまでも私にこだわることはなさそうだ。しかし、 4 人の伯父たちが自分をそっとしておいてくれるとはとうてい思えない。田舎に帰ってこいと誘うのは、私をしばらくは共有の玩具として弄ぶつもりなのに違いない。
 ただ−−
 それも悪くないと、いま私は考え始めている。
 私に歪んだ愛情を注ぐ伯父たちを−−そして、それに呑み込まれて陵辱の限りを尽くされる自分を、ひどく愛おしいものと感じ始めていたのだ。
 賢吾と結婚するかどうかはさておき−−
 ときどき伯父さんたちのおもちゃになるのもいいかな−−

 1 日前には想像もつかなかった、そんなことを考えている理名である。
 耕作が理名を送り届けているころ、清司・信三・良介の 3 人は、早々と編集されてきた DVD のチェックに余念がなかった。
「どうでしょうかね」
「上出来じゃないか」
 DVD を持参したのは、清司たちと懇意の業者である。この手の危ない映像を裏の商品として仕立てるのが仕事だ。
「よくこんな可愛い子で撮れましたね」
 彼らの姪だとはさすがに業者の男も知らないようだ。
 これをとりあえず 50 枚焼く。「試写会」に 30 人来るとして、プラス 20 で 50 。その前にイントロだけの宣伝用を 10 枚−−
「モデルがいいし、相手は集団で迫力があるから、いい値段がつきますよ」
 清司たちは、理名の前にもたびたび、スィートでひとりの女を陵辱している。
 息子たちを登場させたのは初めてだし、これまでは 4 人で古典的な SM をやってきた。その録画を DVD に焼いては、ホテルで試写会をしてさばき、貴重な収入源としていたのである。
 問題はモデルの質であった。近場で見つけた女たちではビジュアル的に弱く、作品の売れ行きもいまひとつだった。
 そこへ理名を陵辱する計略が持ち上がった。当初の目的はもちろん自分たちの性欲を満たすためだったが、その映像で一儲けしようとすぐに思いついた。
「…まずはこれで稼いでと…」
「あとは理名が次に帰ったときに、続編を撮ろうや」
「こんどはこってりしたハード SM だな。俺たちだけでいいだろう」
「仕事を辞めて賢吾とくっついてくれればいいんだがなあ」
「…賢吾はそれでいいのか?」
「ああ。理名と結婚できれば十分らしい」
「それに、理名とやるにも 1 対 1 ではもう燃えないって言ってたぞ」
「あいつも変態だなあ」
「俺たちと同じだ。集団に陵辱されてる理名を見て昂奮する」
「自分がその集団に混ざっていても、いなくても、まあいいわけだ」

 伯父たちの玩具・兼・金ヅルに成り果てるとは知らず−−
 理名は故郷に戻る気持ちを固めつつあった−−

(C) 2010 針生ひかる@昇華堂

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