魔法少女レイナ2~夏生散る(サンプル)

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1 酷寒の街

 12 月下旬--北日本は過去 10 年で最強という寒波に見舞われていた。
 都市化の進んだここ L 市は北方に位置するわりに冬季も温和で、例年なら厳冬期の最低気温でも零下 5 度くらいのものだ。ところがこの半月というもの、まだ 12 月だというのに最高気温が辛うじて零下 10 度という日が続いている。そして日没から夜明けにかけては零下 20 度にまで冷え込むのだ。
 この厳寒にあって、 L 市内には気温がさらに 10 ℃ほども低いスポットが何箇所もあるのを安部玲奈は知っている。そこは異界と人間界とを結ぶバイパスの出入口になっていて、異界の冷気が滲み出しているのに違いなかった。
 そんな酷寒の夜。 L 市の一角にある廃工場--
 玲奈は魔法少女エレナと合体し、淫獣との戦闘に入るところだった。
 鮮やかな紫色のノースリーブのワンピースと、両手には肘までを包む同色の手袋。脚には黒のストッキングと紫色の靴。髪には黄金のカチューシャ。初陣のとき以来変わらないコスチュームだ。
「ひゃひゃひゃ…こいつは驚いた。うまそうな女を見つけて追い詰めたと思ったら、魔法少女だったとはな。人間に化けていやがったか」
 下衆な声がビルの壁に反響し、玲奈の身体にねっとりと絡みつくようだ。
 淫獣の体表から発散される悪臭に吐き気がこみ上げてくる。
「人間の女を漁りに来たんでしょ。お気の毒だったわね」
(…私は正真正銘、人間の女だけど、ね…)
 初陣の疲れが癒えたあと、玲奈は続く淫獣退治に余念がなかった。 L 市を縄張りにしつつあった淫獣アトロシャとフェロシャが死ぬと、その後を狙って別の淫獣が湧いて出る。夜、玲奈が自室で受験勉強をする間、エレナは安部家近くの高所で L 市を俯瞰し、淫獣の気配を感知するや 2 人で出陣するのだ。
 まず玲奈が囮になる。玲奈は淫獣たちには顔を知られていないうえ、もともと異界の者に対する感受性が強く、淫獣に目をつけられやすい。だから淫獣を誘うのは容易だった。作戦実行前に戦闘場所の見当をつけておき、そこへ誘き寄せてから魔法少女に変身するのである。
「異界では見かけない顔だが、新米か?」
「そんなところよ」
「まあいい。人間の女をいただく前菜代わりにお前を可愛がってやるぜ」
「そう簡単にいくかしら」
 玲奈の全身の運動神経とエレナの脳が接続されていく。身体の感覚のうち、視覚・聴覚・平衡覚もエレナに接続。これらの感覚は玲奈のものでもあるので、自分の身体がどんな動作をしているかは自覚できる。
 一方、味覚・嗅覚や皮膚感覚など、戦闘に直接関わらない感覚は玲奈だけのものだ。たとえば淫獣の異臭に玲奈が吐き気を催していても、それをエレナは関知しない。だからエレナは戦闘に集中できるわけである。
 身長 3 m ほどだった淫獣がひと回り巨大化し、5 m ほどになった。だが、今やこの程度で怯む玲奈ではなかった。
 もちろん、巨大な敵を前にして怖くないはずはない。万が一敗北すればどうなるか、十分過ぎるほど承知しているのだから--
 だが、百戦錬磨のエレナと一心同体だという安心感、そして連夜の戦闘での勝利が、玲奈に自信を与えていた。事実、玲奈は経験を積むごとに勝負勘を研ぎ澄まし、めきめきと腕を上げている。初陣ではエレナに操られるままだったのが、今では自分の意思で的確な動きができるようになっていた。
 もともと玲奈には体操で養った筋力と柔軟さ、敏捷性、平衡感覚があり、魔法少女としての戦闘に適性があった。エレナと息が合うようになったことで動作は一段と軽快になり、並の相手なら一撃必殺。一対一であればまず負けない。
(エレナ、こいつに見覚えある?)
 玲奈は普段から言葉を頭に浮かべるだけでエレナと交信できる。合体していれば意思疎通はさらに明確だ。
(淫獣の中ではわりあい下っ端の、スリアという奴だったと思う。アトロシャやフェロシャより格下なんだけど、立ち回りが巧くて上位の連中にも顔がきくの。それに逃げ足が速いという印象があるわね)
(あまり強くないってこと?)
(そうね。でも玲奈、油断しないで。一撃で仕留めましょ)
(うん)
 間合いを詰めてくるスリアに向けてロッドを構えたときだった。ぐふふふ…と意味ありげな笑い。
「今わかったよ。お前は人間の女だろ。エレナが合体してそこに一緒にいる」
「…だとしたら?」
「アトロシャとフェロシャを殺したあと、続けて何匹も派手にやってくれたらしいじゃないか。異界じゃけっこうな噂になってるぜ」
 ドクン。
(…私が噂になっている?…淫獣どもの間で?…)
 軽い、だが確かな衝撃だった。それは波打ちながらやがて全身を包み、淫毒に冒された神経を刺激する。下腹部にむらむらと沸き立つものがあった。
「どんな噂か、わかるよな…けけけ」
 スリアの物言いにはどす黒い意図が感じられる。淫獣にとっては魔法少女も人間の女も、陵辱の対象でしかないのだ。
「どうせ、ろくな噂ではないのでしょ…私の顔も知らないくせに」
 対戦した淫獣はすべて仕留めている。玲奈を知る者はいないはずだった。
「そりゃあな。だから顔も身体も想像するしかない。ただし、あのプライドの高いエレナが合体の相手に選ぶんだから、それなりのタマには違いなかろう」
 淫獣が思いがけず饒舌で、攻撃を仕掛けるタイミングをつかめない。こうしているうちにも淫欲が高まり、戦闘への集中力が失われていく。
「だから、いつか味見をしてやろうとな。いいや、死んだ連中の弔いのためにも、徹底的に嬲り者にしてやらねばとな」
 無数の淫獣がめいめいに妄想の中で自分を犯している--
 そう考えただけで呼吸が乱れてしまう玲奈だ。
(玲奈、あいつに調子を合わせてちゃだめよ)
(…う、うん…)
「それなりの上玉だろうとは俺も予想してたんだが、いやはや、期待を遙かに上回る美少女だぜ。エロ汁もさぞや美味かろう」
 女がいまわの際にしぶかせる体液は、淫獣どもにとってことのほか美味らしい。それで自分たちの快楽を後回しにしてでも女を責め、一滴残らず潮を絞り取ろうとする。いま玲奈もその獲物として見られているのだ。
 ぎらつく両眼から卑猥な視線が放たれて、玲奈の全身を舐める。顔から胸、腰、脚とそれは這い降り、また這い上がる。セクシーなコスチュームに包まれた肢体を値踏みするようだ。
「お褒めに与って光栄だけど、いやらしい目で見ないでくれる」
「魔法少女の恰好なんぞしやがって、脚やら腕やら見せびらかしてるからだよ」
 スリアの股間にはグロテスクなものが怒張している。それに貫かれる自分をつい想像して、呼吸が乱れかける。
「胸はないようだが、そそる身体をしてるじゃないか」
「お喋りもほどほどにして、さっさとかかって来たら?」
「そう焦るな。それとも、俺に犯られたくて待ちきれないのか?…ひひひひ」
 頬がかっと燃えるような感覚。
「馬鹿じゃないの」
「どうだかな。俺たちと戦ってるからにはお前の身体はどっぷり毒液漬けだろ。今も俺に睨まれただけで濡れてんじゃないのか」
「そんなはず…」
(玲奈、挑発に乗っちゃだめだったら)
 エレナにそう諭された時だった。
「それじゃ、確かめてやるぜ」
 シャアアアアア…
 突如、スリアの全身のコブが触手に変異し、うなりを上げて襲ってくる。まるで一本一本が玲奈を見ているように、全身のあちこちを狙って来る。
 ロッドの刃で切り刻むと毒液を浴びてしまうので、ジャンプしてかわした。体力を消耗してさえいなければ、淫獣の身長以上の高さに飛べるのだ。
 敵の眉間をめがけてロッドを振り下ろした。その先端は両刃の剣になっている。急所に命中すればその瞬間に決着がつく。
「えいっ!」
 手ごたえはあった。
「ぐわ」
 青黒い血が噴き出している。両手で頭を覆うスリア。
 続けて、ずしん…とビル全体を震動させて膝をつく。
 敵のダメージは確実。だが、一撃で仕留めるには至らなかったようだ。
(いけない。変に力が入って…かえってパワー不足だった?)
(そのようね)
 敵も本気ではなかったようだが、こちらも平常心を失っていた。
 もう一撃--
 そう思って再びジャンプしかけたところで、スリアが地中に沈み始める。
「今日のところは退散しておくが、傷のお返しは必ずさせてもらう」
「逃がすもんですか」
 先の話を聞いたからには、スリアを手負いのまま逃がすわけにはいかない。飛び上がりかけたところで、
(玲奈、深追いしないで。そこがちょうど異界とのバイパスらしいわ)
(…えっ…でも…)
 敵の姿は既に大方が地中に沈み、頭だけになっている。
(バイパスに吸い込まれでもしたら、異界まで連れて行かれる)
 そんなことになったら何が待っているのか、想像がつく。諦めて、ロッドを杖にして佇んだ。
「お前の姿は俺がしっかり目に焼き付けた。異界に戻ったら仲間に紹介しておくから、覚悟しておけ…ひゃひゃひゃ」
 淫獣スリアは消えた。傷が癒えたら、仲間を引き連れてまたやってくるつもりだろうか。とどめを刺さなかったことを後悔することになりそうだった。
 そこへ--
「惜しかったけど、なかなか素敵だったわ。腕を上げたわね、レイナ」
 そんな声とともに眩い光の球が現れた。エレナと一緒に空中を移動するときのものと同じだ。
(カレン!…)
 玲奈の脳内にいるエレナの意識が応じる。光の球の中に、ひとりの魔法少女が姿を見せた。
 身長は玲奈より少し高く 162 cm くらい。スリムな肢体にライトブルーのロングヘアが美しい。顔立ちはフランスの少女のようだ。紫色のワンピースと黄金のカチューシャが、エレナと同じ格付けの有能な魔法少女であることを示した。
「お久しぶりね」
と、カレン。
「私、あなたに会ったことが?…」
「ええ」
 エレナ以外の魔法少女と会ったとすれば、あの時しかない。
「…アトロシャとフェロシャを倒したとき…」
「 2 匹にとどめを刺すように、エレナのロッドをあなたに渡したわ」
 玲奈は顔を赤らめる。そのときは全裸だったのだ。
「…今日は、何か…」
 もじもじしながら言うと、
「エレナに頼まれたの」
 カレンはそう言って、黒いカプセル様のものを玲奈に渡す。掌に載るサイズの、ちょうどコンピュータのマウスのような形状だ。
(異界生物のセンサーよ)
 と、エレナ。
「センサー…」
「これがあれば、街をずっと見張っていなくても淫獣を感知できるわ」
(半径 30 km くらいは高感度のはずよ)
 それなら、玲奈の自宅から L 市全体をカバーできる。
「すごい…」
「これをしばらく預けるから、役立ててね」
「ありがとう」
 カレンと向き合うと、その美貌にうっとりするほどだ。
 そのとき。
 何かがカレンの足首を捕らえた。
「あっ!」
 すぐにジャンプしようとするが、地中から伸びる巨大な手がそれを許さない。さらに十数本の触手が一斉に襲いかかって、カレンの下半身をみるみる拘束していく。
「…ああっ!…」
「カレン!…」
 間一髪飛び退いて、玲奈は無事だった。カレンを救おうとするが、触手が行く手を阻んで近づけない。無理に近づけば、玲奈まで引き摺り込まれる。
(油断したわ。スリアが引き返してきたのよ)
 カレンの身体が地中に引き摺り込まれていく。
「レイナ!…エレナ!…」
 カレンはもう上半身だけになっている。スリアの頭がまた現れた。
「うひゃひゃひゃ…カレン、何をしに来たかは知らんが、異界に戻ってたっぷり訊いてやろうな」
「…うっ…いやっ!…」
 絡みつく触手に早くも苛まれているようだ。もがき苦しむカレンが地中に沈むのを、玲奈はただ見守るほかなかった。
 その間、わずか数秒。カレンが消え、触手も消えた。
 何事もなかったかのような静寂--
(…エレナ?…)
 脳内で話しかける。
(…カレンは、どうなるの…)
(淫獣たちの巣に連れ込まれて、拷問されるわ)
(…そんな…)
 それがどんな種類の仕打ちであるのかはわかる。
(可哀想だけど、どうにもできない)
 それが魔法少女の宿命ででもあるかのように、エレナは冷静だ。
(命までは取られない。淫獣に襲われても命を落とした魔法少女はいないわ)
(…そうなの?…)
 意外だった。死ぬほどの苦しみを与えられるのだろうに--
(私たちは、ここでするべきことをするだけ)
(…ええ…)
 光の球が玲奈を包む。魔法少女のコスチュームが消えて、いったん全裸になったその身体を、今度はもとの衣服が包んでいく。
 やがて光の球が空高く舞い上がる--

 玲奈たち高校 3 年生は、大学受験の大詰めを迎えていた。
 私立慈愛高校の生徒会執行部は、秋の学校祭を境に代替わりをした。生徒会長を務めた玲奈ほか 3 年生が引退し、新会長をはじめとする主要メンバーは現 2 年生から選ばれていた。
 今は卒業生を送る予餞会の準備に忙しく、人手はひとりでも多く欲しい。だというのに、執行部 2 年の南雲慎二郞は例の事件以来生徒会室に寄りつかなくなっていた。
 秋も深まったあの日、玲奈は廃校舎で、淫獣に憑依された百目鬼(どうめき)と志摩に襲われた。そして、そこに現れた魔法少女エレナと合体して淫獣 2 匹と戦った。戦ったとはいっても、攻撃らしいことができたのは最後の一瞬だけ。ほとんどの時間は夥しい数の触手に全身を絡め取られ、陵辱の限りを尽くされていたのだ。
 毒液漬けにされて快楽地獄に堕とされ、何十回も絶頂させられ、何十リットルもの潮を吹いた。最後にはエレナのとっておきの魔法で辛うじて勝ったものの、いま生きているのが不思議なくらいだ。
 淫獣 2 匹が干からびて死んだあと人間の姿に戻った百目鬼と志摩は、残念ながら元のふたりではなかった。魔法少女たちの介抱で一命は取り留めたものの、髪はすべて白髪と化し、廃人も同様。体重 100 kg の巨漢だった百目鬼はやせ衰え、マドンナと称された志摩もざっと 30 歳は老いて見えた。淫獣に憑依されて操られ、精気を吸い取られたためである。ずっと意識不明の状態なので、もちろん教師を続けることはできなかった。
 玲奈と南雲のほかには事情を知る者はない。百目鬼と志摩が同時に休職したので、ふたりの間に何かあったのだと、しばらくはその噂でもちきりだった。
 戦いのあと、玲奈は魔法少女たちに傷を癒され、汚れを清められて、エレナの光球で家に帰り着いた。さすがに消耗しきっていて、帰宅と同時に高熱を出し、そのまま週末を挟んで 3 日間寝込んだ。学校に戻ったのは事件から一週間後であった。
 寒い廃校舎を歩き回ってひどい風邪を引いたということになっている。勉強に支障はなかったが、学校祭まで時間がなく、そちらの仕事が大変だった。執行部のメンバーは「殺人的」だと言ったが、玲奈にしてみればあんな事件のあとだったので、大抵のことは冷静にこなすことができる。そして今でも、受験勉強の傍ら命がけの淫獣退治を続けているのである。
「なんだか玲奈は急に大物になった」と言われるのも道理であった。
 ところで--
 異界の住人からの置き土産は、魔法少女の仕事だけではなかった。
 あの事件で毒液を全身に浴び、胃にも腸にも注がれて、玲奈の身体は骨の髄まで淫毒に浸かった。傷が癒え、身体を清められても、染み込んだ淫毒だけはどうすることもできない。時間が経てば分解されるというものでもないらしい。それは魔法少女の宿命であるらしく、彼女らは淫毒の苦しみを背負いながら淫獣と戦っているのだという。エレナは「馴れるしかない」と言うのだが--
 それは当分の間は無理なようだった。服を着ているだけで、その生地が全身を愛撫してくるような感覚にいつも包まれている。ブラジャーが乳首に擦れるだけで、スカートが太腿を撫でるだけで、濡れてしまう。パンティストッキングの感触が気になり始めると、脚全体に微細な虫が這っているかのような感覚に襲われる。
 秘部の粘膜は異常な刺激にいつも苛まれている。くすぐったいような、痒いような、痛いような--不快なような、気持ちいいような--気になり始めると触れずにはいられなくなり、いったん触れると擦るのを止められない。爪で引っ掻きたい衝動を抑えて指先で摩擦するとたちまち愛液がしぶき、脳天まで快感の電流が走る。
 いちばんまずいのは、あの日包皮を切除されたクリトリスだ。傷の治療に併せてそこも復元してもらったが、いったん本体が勃起すると簡単に包皮が剥けて露出するようになってしまった。すると、歩くたびにパンティの生地に刺激され、勃起が治まらない。それで生理中でもないのに、少しでも感覚を和らげるためナプキンを充て、愛液がこぼれないようにタンポンも入れている。
 大学受験が迫っている。淫欲の高まりに身を焦がしている余裕はなかった。結局、我慢せずにオナニーをするのが一番効率的で、しかも楽だという結論に至った。ただし、寝る前はもちろん、朝の起き抜けにもオナニーをしなくてはもたない。学校のトイレですることも珍しくはない。
 オナニーのとき--玲奈は、あの事件のことをどうしても思い出す。身の毛もよだつ経験だったが、あのときの絶頂はこの世のものとは思えないほど高く、深かった。触手に縛り上げられ、毒液で性感を高められて、淫獣 2 匹に弄ばれる自分--それを思うと玲奈の官能は激しく高まるのだ。妄想の中の自分は、以前は魔法少女に変身しているのが常だったが、最近では生身の女子高生であることが多い。
(…万が一、ひとりの時に襲われたら…)
 まず、命はない。玲奈の身体は淫毒漬けになっているから、普通の女よりも危険なのだ。この世のものでない快楽に悶え苦しみながら、また何十リットルも潮を吹かされ、干からびて死ぬだろう。
 始末の悪いことに、その危険な妄想がいっそう玲奈の官能を高め、いったんオナニーを始めると疲れ果てて眠ってしまうまでやめられないのだった。
 最近、玲奈はいつもぐったりと辛そうにしている--
 倉沢夏生は親友として気がかりだ。
 身体の調子でも悪いの、と訊ねても、大丈夫、なんともない、と答えるだけである。度重なる戦闘に加えてオナニーのしすぎで消耗しているからなのだが、そんなことを玲奈が言うわけはない。
「身体がなんともないのなら、もしかしてスランプなの?」
「そんなところかな。たぶんね」
「玲奈は執行部の仕事があったほうが張り合いがあるのかもよ」
「うーん…そうなのかな。今日、帰りにちょっと顔出して行こうかな」
 帰宅すれば、夜にはまた出動することになるのかも知れない。昨夜逃がした淫獣の台詞も気にかかっていた。魔法少女の仕事のことを忘れられる時間が今の玲奈には貴重だった。自分を慕ってくれる後輩たちに会って行こうか。
(…そう言えば、南雲は…)
 玲奈は思う。南雲はあの日、アクシデントで自分と一緒に合体してしまったが、最後には分離できたし、彼は無傷で済んだはずだった。
 玲奈が悶え苦しんでいる最中に、玲奈をずっと陵辱したかったのだと告白してきた。大勢の男に輪姦される玲奈を見てみたかった、などとも言っていた。
 玲奈はこのまま死ぬのだろうからと、言いたい放題言ったようなところもある。予想に反して玲奈が逆転勝利し生き延びたものだから、合わせる顔がないのだろう。ずっと学校にも来ていないらしい。
(…いったい、どうしているのかしら…)
 心配してやる筋合いではないのだが、南雲が自分の前からきっぱりと消えてしまったことになんとなく不安が募るのだった。

(C) 2013 針生ひかる@昇華堂

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