狩られる−愛美(まなみ)の受難−(サンプル)

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1 淫欲に灼かれて

 美奈子の新居を訪ねて、帰路に就いたのが午後 9 時半。土曜夜の郊外の道路は空いていて、来たときに見えた晩秋の景色は楽しめないものの、それなりに快適なドライブだった。
 集まった友人たちが帰り始めたころ、美奈子は泊まっていくように勧めてくれた。もう 9 時を回っていて、夜道をひとりで帰すのは心配と案じてくれてのこと。だが、新婚家庭の週末にお邪魔虫はいないほうがいいに違いなく、私としても気が進まなかった。仲睦まじい二人を見るにつけ、淋しさが増す。早く家に帰ってくつろぎたかった。
 いや−−くつろぐというのは嘘。週末の習慣となってしまっている、長時間のオナニーをしたいのだ。
 2 年前に結婚した夫が私を求めなくなって、もうどれくらいになるのだろう。経済紙の記者は時間が不規則で、家にいないことも多く、いても疲れているのはよく承知しているが、結婚前はどんなに忙しくても週に一度は抱いてくれたものだった。結婚したとたんセックスレスになるカップルもいるとは聞くが、そんなものなのだろうか。あんなに性欲旺盛だった彼も 33 歳になり、涸れてきてしまったのだろうか。それとも−−飽きられてしまったのだろうか−−
 私は 28 歳になったが、まだまだ、そんなに色褪せてはいないはず。友達も、愛美は学生のころと全然変わらない、どうしてそんなに肌のツヤがいいの、と感心してくれる。これから子どもも欲しい。セックスレスになるには早すぎるのだ。
 幸いにして、美貌というほどではないけれど、そこそこの容姿ではあるという自信がある。身長は低め、バストはBカップの“貧乳”だが、スリムで全体のバランスは良いと思う。飲食に気を遣っているし、週に一度はエクササイズに通って汗を流している。ひとえに「そこそこの容姿」を保ちたいから。 30 代になっても、 40 代になっても、きれいでいたい。
 夫のことは好きだから添い遂げるつもりはある。だが本音としては、ほかの誰かにたっぷりと抱かれたいと思うのはしょっちゅうだ。今でも職場の飲み会で「淋しくなったら呼んでくれ」みたいなことを半ば本気で言ってくる人はいるし、私もまんざらではないのだけれど、職場不倫はどろどろしそうでいや。さらっと、セックスだけのための出会いがあればいい。それで「出会い系」の掲示板に投稿をしたこともあるし、返事はたくさん来たが、病気その他もろもろの心配事を考えると踏み切れなかった。
 今日集まったのは、美奈子の友達を中心に女性が大半。ダンナの結城さんを含めて男性はほんの数名だった。そう聞かされていたし、おかげで気楽な会だったが、それでも男性陣のためにいちおうのお洒落をしていった。とはいっても主役は美奈子だから、控えめにまとめた。黒のノースリーブブラウスに、グレイのカーディガン。黒系のシフォンスカートに、ダークブラウン・メッシュ柄のストッキング、同系色のパンプス。
 早く帰り着きたい−−
 朝の身支度のときから、私の中で精が湧き起こっていた。
 私は自分の脚が気に入っている。毎日ストッキングの色や柄を変えて脚を見せるのが、密やかな楽しみである。だから外出するときはほとんどスカートだし、最近は膝丈のシフォンスカートが多い。膝から太腿にかけて透けて見えそうで見えない、危うい感じがたまらなく好きなのだ。今日の男性陣も、私の脚が気になっていたのだろう。それとなく私の下半身へ視線を送ってきていた。私と目が合うと不自然に視線を逸らす、その様子が可愛らしかった。
 そして、私のお気に入りのその脚は敏感な性感帯でもあって、ストッキングをくるぶしからふくらはぎ、膝、太腿と這わせてくるとき、感じてしまうことがよくある。今朝もそうだったのだ。美奈子の家で友達と話しているときは気が紛れていたけれど、往路の運転中はむらむらと落ち着かなかった。そして今も−−
 夫は金曜から 10 日間も出張。留守を幸いに、家に着いたら、思い切りオナニーをしよう。お風呂で秘部や脚にシャワーで湯を浴びせながら、クリトリスを刺激して一度いく。一度で済まなくてもいい。そしてベッドに移り、バイブで自らを犯す。私の右手は、別の人格が乗り移ったように容赦がない。私がいっても、右手は構わずバイブを抽送する。左手は太腿やクリトリスをまさぐる。いくたびに官能が高まり、私はたまらず、またいく。でもバイブは止まらない−−やがて私は疲れ果て、バイブに抉られたまま眠りに落ちるのだ。
 こんなオナニーをするようになったのは、ここ数か月くらいのこと。あるとき、一度いくだけでは満足できずに右手を止めずにいたら、一度めよりも激しく達した。それ以来「病みつき」というわけだが、そんなとき、私はいったい何を思っているか。
−−複数の男性に手足を押さえつけられて、全身舐め回されながら、代わる代わる犯される自分。あるいは、身動きできないように縛り上げられて、拷問のように、気を失うまでバイブで責め立てられる自分。そこに登場するのは、仕事の同僚だったり、取引先の会社の人たちだったり、大学時代、高校時代の先輩や同級生、あるいは教師たち−−妄想の中での私は、ただでさえフェロモンたっぷりの「そそる」女なのに、いつも半袖やノースリーブのブラウスにスカートで腕や脚を露出しては、彼らの劣情を煽ってしまっていた。彼らを挑発していた償いをさせられるのだ−−
 今にして思えば、Mの気があることは中学生のころから自覚があったはず。複数の男に犯される願望があることも成人するころには気づいた。そんな自分の“正体”をなかなか認めることができなかったが、20代後半に入って女としても「すれて」くると、貞淑ぶった自分は淫乱なもうひとりの自分に押し切られるように抵抗しなくなった。
 なにしろ、妄想しながらオナニーをすると快楽の深さがケタ違いなのだ。もう、妄想せずにはオナニーができない。「身体は正直だ」とは、小説などでは陵辱する側が遣うセリフのはずだけれど、私にはそれが実感としてある。
 そんなことに思いを巡らせていたら、濡れてきてしまった。まだしばらくは夜道を走らなくてはならないが、一刻も早く帰り着かねば身が持たないような気になってきた。
(だって、朝からもう半日も我慢しているんだものね…もう少しだからね…)
 いきおい、アクセルを踏む右足に力が入る。
 −−と−−
 ブロロロロ…
 車の爆音が前方から近づいてきた。その高まりようから、すごいスピードを出しているのがわかる。誰もいないと思って暴走しているに違いない。
 そう思う間に、目の前に現れた。 1 台ではない。 3、4 台群れて走っている。私はブレーキを踏む。
「きゃっ…!」
 危うくぶつかるところだった。向こうが私の車に気づいて、間一髪、よけてくれた。そのまますれ違って、辺りにはまた闇が広がる。
「暴走族ってまだいるのね…逆方向で、良かった」
 独り言をいいながらまた少し走ると、交差点で信号待ち。その辺りは少しだけ明るい。他の車は走っていないのだから、信号など無視しても良さそうなものだけれど、そこは法律遵守。
 すると−−
 後方からまた車の爆音。
 ミラーで見ると、それらはどんどん近づいて来る。そして、私の車の背後に。
 そして、右に。
(なに…?)
 悪い予感がして、赤信号に構わず車を発進させようとすると−−。
 前にはバイクが 3 台。
(囲まれた…!)
 左のわずかなスペースにも、バイクが。荒っぽさを誇示するようにアクセルをふかす音。
 信号が青に変わる。私は直進するはずだった。でも、前のバイクのひとりが振り返り、
「左に曲がれ」
と首で合図をしてきた。
 そんな指示に従ってはいけない。なんとしても振り切って逃げなくてはいけなかった。
 でも−−
 咄嗟のことに、気が動転していた。そこで起こっていることが信じられなかった。
 何よりも−−怖くて、怖くて−−
 クラクションを盛大に鳴らしたり、まして強引に右の車にぶつけて脱出を試みたりは、できるはずもなく−−
 私は、促されるままに左折した−−

2 奈落へのドライブ

 先ほどすれ違ったときに、女ひとりなのを見て取られたのだ。
 私の車は、夜目にも目立つ赤の軽。
 赤い車などに乗っているのがいけなかった。その辺りに危なげな連中がいることを知らなかったのも。
 せっかくの美奈子の申し出を断ったのは、帰ってオナニーをしたかったから?
 なんてばかなんだろう−−
 震えが来る。寒いときや、熱があるときのとはちがう、身体の奥底から全身を揺さぶるような震え。
 心臓が鳴っている−−
 携帯で 110 番する余裕もない。ただ、走らされるだけ。アクセルを踏むパンプスの足が、がくがく震える。
 バイクが右にぴったりつけて至近距離でのぞき込んでくる。今にもぶつかりそうで、私はハンドルを切るのに必死。
「ひょおおーーっ」
 彼らが何をしようとしているのかは−−明らか。
 女なら何でもいいと思っていたのかも知れない。でも、私がそこそこ上等の“獲物”であるのがもうわかったはず。バイクの連中は互いに合図しながら、私を指さし、うんうんと頷いたりしている。そして歓声を上げたり、口笛を鳴らしたり。興奮しているのだ。
 辺りに建物はない。前方も後方も、道路のほかには闇が広がるばかり。地図をざっと見ただけの曖昧な記憶では、その先には、何もない。造成工事の現場くらいしかないはず。また、右の何台もの車が反対車線を遠慮なく走っているということは、対向車は来ない道だということに違いない。対向車が来て、この事態を発見してくれることは期待できないようだ。
 ちょっと待って−−
(右に何台もの車…?)
 車の数が増えたような気がする。さっきは 3 、4 台だった。いまは−−
 私の車の前に、後ろに、右に−−さっきの 2 倍以上にもなっている。
 その隙間を埋めるように、バイクが 10 台くらい。
(“応援”を呼んだんだ…)
 はじめに私を発見して、Uターンして来る間にも、その後にも、仲間に連絡を取っているのだ。
 混乱した頭で計算する。車 1 台に−− 2 人ずつ乗っているとして−−それが 10 台として−−バイクが 10 人で−−
(本気なの…?)
 この全員で、私を−−
 私を−−襲うつもりなの?
( 30 人がかり…?)
 集団レイプ−− 30 人−−輪姦−−私ひとりを?−−
 そんな言葉を脳内に巡らせていると、バイクのひとりが私の右のウィンドーを叩き、
「ウィンドーを下げろ」
と合図してくる。
 恐る恐る従うと、中指を立てて、
「満足させてやるぜーーっ!」
 そいつは 20 代前半という感じ。みんな、若いのかも知れない。
 私の頬にはいつのまにか、涙が流れている。悔しいのと、怖いのとで−−
 ファウンデーションのほかはアイシャドウだけの、淡いピンク系のメイク。肌が若いので普段から化粧は薄めで、今日もそうだった。泣いたことでシャドウが落ちているかも知れないが、崩れた感じにはならないだろう。
 これから陵辱を受けるのだとしても、ひどく辱められるのだとしても、私は屈したくない。最後まで綺麗でいたい。女として−−
(覚悟…しなくちゃ…)
 相手が何十人いるのかわからないけれど、週末のうちに、帰してもらえるのなら−−
 いや、壊されさえ、しなければ−−

(C) 2009 針生ひかる@昇華堂

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